| ======================================== 高脂血症治療 ー新しいEBMとガイドラインー 京都府立医科大学第二内科 佐々木 享 先生 ================================== |
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| 京都府立医大の第二内科の佐々木と申します。きょうは産婦人科の先生方の勉強会ということですので、あまり堅苦しくならないようお話ししたいと思います。HRTに関しましても、終わりのほうで、内科との接点の部分に関して少し触れてみたいと思います。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 「総コレステロールを測るのは止めよう!」についての説明 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 健康診断では総コレステロールを測らざるを得ない場合がありますが、保険上、総コレステロールとLDLコレステロールを一緒に測ると問題がありますので、取りあえずこの三つで十分です。LDLコレステロールの計算式もありますけれども、計算式で出す場合はいろいろと制約がありますし、不正確ですから、脂質に関してはこの3つを取りあえず測っていただきたいと思います。その理由を実例を挙げて説明します。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 高脂血症にはWHOの分類により、T、UA,UB、V、W、X型と分かれていますが、この患者はアポEのフェノタイプが2/2でV型の高脂血症となります。V型高脂血症ではLDLコレステロールが低いにもかかわらず、総コレステロールは高くなり、まれな疾患です。日本人に多いのはやはりUA、特に女性はUAが多く、コレステロールだけが高い。それからUB、これもたくさんいます。また。W型は中性脂肪だけが高いので、これは男性に多いのです。しかし、中性脂肪があがってもHDLコレステロールが高いだけの場合でも総コレステロールは上がるわけですから、総コレステロールで判断すると、間違って診断してしまうということになります。 |
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| 「Stay on Therapy」を実践するにあたり | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| Stay on Therapyという言葉はどのようにして患者さんに治療を継続させるかということを示しています。患者さんはコレステロールが高値でも痛くも痒くもないわけですから、その患者さんに治療の必要性とゴールを具体的に示すということが大切です。それと血管障害の程度を画像的に示すこともStay on Therapyには効果的で、本日は我々がどのように血管障害を評価して患者さんに説明しているのかをお示しします。最後に薬剤の正確な情報、これには薬剤の効果もありますし、副作用もあり、それを患者にしっかりと伝えるということが大切です。 |
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| 治療の必要性とGoalを具体的に示す | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 日本人の三大死因というのは言うまでもなくガンと心臓と脳卒中で、ガンが全体の3割5分で、心臓と脳卒中を合わせて3割5分を占めます。つまり血管病を基にする病気はガンに匹敵する。これを予防するためには取りあえず血管病のリスクファクターを取り除くことが重要です。リスクファクターとしては血圧とコレステロールが代表的なもので、脳卒中には高血圧がリスクとして重要であるのに対して、冠動脈疾患は高コレステロール血症が重要となります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| コレステロールが心血管病特に冠動脈疾患の発症に関与するというのはよく知られています。総コレステロールで200mg/dlを1とすると220が1.5、240が2倍と発症率が増加します。これは日本もアメリカも同じで、日本はまだまだ冠動脈疾患は少ないと言っても決して油断はできないことになります。 ところが絶対数で比較しますと、日本はアメリカの1/4で、逆に脳卒中は日本のほうが少し多いです。従って、日本ではまだ高脂血症、高コレステロール血症に関して神経質にならなくてもいいという意見もあります。しかし、欧米では冠動脈疾患が非常に多く、死因のトップを占めている国もありますからコレステロールの管理は特に重要なわけです。 |
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| 日本におけるコレステロール管理の考え方 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ところで日本人の血清コレステロールは時代とともに上昇していますが、アメリカでは逆に下がっており、日本の女性のコレステロール値はアメリカ人の女性を既に超えていますし、日本の若年者はアメリカの若年者より高値を示しています。従って、冠動脈疾患は現時点では日本はアメリカより少ないのですが、10年先、20年先は非常に不安なわけです。血管病の危険因子をまとめますと、アメリカは肥満と糖尿病が日本より多く、それに対して日本では女性と若年者の高コレステロール血症と喫煙が多く、今後このバランスがどちらに傾くのかは危惧されるところです。若年者でたまたま他の病気で亡くなった人の冠動脈硬化の程度を日米で比較すると、日本の二十歳代は米国の二十歳代と比べると初期の動脈硬化病変は多いことが示されています。日本の若年者はコレステロールも高いし、更に動脈硬化病変も米国よりすでに多く、近い将来、疾病構造が日本も欧米並みになる可能性が高いわけです。 次に最近のアメリカの高脂血症治療のガイドラインの考え方をお話したいと思います。従来の基本的な考え方はコレステロール240の人は200の人に比べて2倍冠動脈疾患を起こしやすい。従って、治療を要するという考え方でした。最近はこのような相対的な評価法はやめて、ある患者が冠動脈疾患を今後10年間に発症する確率はどれぐらいあるかを絶対値で評価して、治療方針やゴールを決めようという考え方に変わっています。 |
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| Aという患者とBという患者は共にLDLコレステロールが120として、Aさんにとっては正常であるLDLコレステロールも、Bさんにとっては非常に危険だという考えが成り立つわけです。何故かというと、仮にBさんが糖尿病を持っているとか、あるいは冠動脈疾患をすでに持っているとしたら、BさんのLDLコレステロール120は治療しなければいけない。Aさんは危険因子を何も持っていないならば、治療の必要はない、そういう考え方です。 リスクカテゴリーの中で、最も高いリスクというのは冠動脈疾患を10年間に20%より高い確率で発症するということで、動脈硬化性疾患をすでに持っている人とか、糖尿病を持っている人とか、あるいは複数のリスクを持っている人が含まれます。リスクの重みにより、治療の開始基準とゴールを決める。そうしますと、LDLコレステロールがいくらだと、正常だとか異常だとかという考え方は、あまり意味がなくなってきます。やはり個々の患者さんをしっかり診た上で治療するかどうかを決めないといけないということになってくるわけです。 |
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| たとえば冠動脈疾患がある人、糖尿病のある人のLDLコレステロールの目標値は100以下となりますが、現実にLDLコレステロールを100以下に下げることは難しい。仮に計算式でLDLコレステロールを出すとして総コレステロールが180、HDLコレステロールが40、中性脂肪が50だとします。LDLの値は130となり、もしこの人が糖尿病や冠動脈疾患の合併があると、治療を要することになります。Higher the risk, lower the goal.という考え方が成り立ちます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
新旧ガイドラインのコレステロール管理目標の比較
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| 一方、これは日本で2〜3カ月前に出た新しい基準です。このカテゴリーCは冠動脈疾患をすでに持っている人でLDLコレステロールの管理基準は100、つまりアメリカと全く同じです。リスクがない人はLDLコレステロールで160、総コレステロールで240が管理の基準となります。その間はリスクの重みによって細分化しようとの方針です。ですから、リスクが多い人はしっかり下げてやる。特に、冠動脈疾患と糖尿病の人は100以下を目指すことになります。若い人でたばこも吸わないし、他にリスクは何もない人は少し甘く見ても許されます。 |
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| 血管障害の程度を画像的に示す | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
血管障害の種類と評価法
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| 次に血管障害の評価法についてお話しします。脈波伝播速度(PWV、Pulse Wave Velocity)は血管が固いと脈波が速く伝わる、逆に血管に弾力があると脈波が吸収されて、ゆっくり伝わるということを利用して血管の障害の程度を評価します。高血圧患者で脈波伝播速度の値によってどのように予後が違ってきているかというのを見た成績では、Pulse Wave Velocityが速い人は総死亡率が高く、心血管死亡率はさらに高く、心血管病の予後の予測因子として十分有用です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 急性心筋梗塞発症前の責任冠動脈狭窄度は、コレステロールがたまって血管がどんどん細くなる。それで、50%狭窄から75%、90%と狭窄が進んで、最終的に血栓ができて心筋梗塞が起こると理解していたわけです。ところが、急性心筋梗塞を発症している責任冠動脈の86%において有意狭窄は認められない。つまり有意な狭窄のない動脈から心筋梗塞は発症しているということが分かってきました。 従って、心筋梗塞の発症予測因子としての冠動脈造影による狭窄度の評価の有用性は低下します。もう一つの問題として、造影剤で見ているのは血管内腔です。ところが、動脈硬化の進行と共に内腔が狭窄するわけではなく、その初期には血管はむしろ外向きに大きくなります(positive remodeling)。そうしますと、この血管造影による有意狭窄は動脈硬化としては末期像となります。そこで、血管内腔よりも血管壁の性状を評価することが重要です。つまり、破れやすいプラークなのか、あるいは安定したプラークなのかを見たいのです。そこで、この血管壁の評価法について説明します。 血管壁にプラークがあります。ただ、このプラークは厚い線維性の被膜に被われており、破れにくい、つまり安定プラークと言います。一方、狭窄の程度は同じでも線維性被膜が薄く、プラーク内に炎症細胞や泡沫細胞が出現して、線維性被膜を溶かして、薄く脆くする。この不安定プラークが破れて急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症等)を発症します。 |
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| 血管壁の評価法にはMRIとTEE(Trans esophageal echography、経食道エコー)があります。現状では胸部大動脈ではある程度評価が可能ですが、冠動脈の評価にはまだまだのレベルです。 今、血管壁の性状を見る最も現実的な方法はエコーです。エコーも先ほど言いましたように食道から見る、あるいは血管の中から見る、あるいは首から見るものがあります。 これは首から見た頚動脈超音波検査で総ての外来の患者さんに実施しています。頸動脈エコーではプラークの量と内膜・中膜厚を評価します。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症等のリスクがある人はプラークが多く、ある程度プラークの性状も分かります。冠動脈壁の性状をエコーで評価するためには冠動脈の中からエコーをするIVUS(Intravascular Ultrasound)という検査法があります。 |
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| 最近は、CTによる冠動脈の評価法も行われ始めています。CTではかなりの精度で冠動脈の評価が可能となり、近い将来、冠動脈評価の一部はCTで非侵襲的に行える可能性があります。 |
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| 薬剤の正確な情報(効果、副作用)を患者に伝える | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 最後に薬の効果と副作用等の情報を正確に患者さんに伝えるというお話しをしたいと思います。現在、開発された順にスタチンにはプラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチの4剤があります。我々がスタチンを選択するときに迷うわけですが、選択の助けとなる成績について紹介します。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| LDLコレステロールの低下作用に関しては最も効果の強いのはアトルバスタチン(リピトール)で、その次がシンバスタチン(リポバス)です。これはこの前まで5mg錠しかなかったのですけれども、今は10mg錠も20mg錠も出ています。シンバスタチン20mgとアトルバスタチン10mgがLDLコレステロールを下げる程度は同じです。一方、HDLコレステロールを上げる効果がアトルバスタチンよりもシンバスタチンのほうが優れているという成績が出ています。スタチンの脂質改善作用には差があるようです。 もう一つの問題は、これはケアスタディというプラバスタチン(メバロチン)を使った代表的な心筋梗塞の再発予防試験です。総コレステロールが240以下という、どちらかというと正常に近い人を含んでいます。5年間治療すると冠動脈イベントは確かに35%下がったわけです。ところが、治療する前のLDLコレステロールが低い人は治療しても効果が無いことが示されています。そうすると、先ほどの冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールの管理基準を100以下にするガイドラインと矛盾が生じます。 それに対して、Heart Protection Studyが今年発表されました。この試験の対象患者は5年間で冠動脈疾患で死亡する確率が10%あるハイリスクの患者さんです。その中にはもちろん冠動脈疾患やその他の動脈硬化症の既往のある人、糖尿病、65歳の高血圧の人が含まれ、総コレステロールが135以上の人、つまり低コレステロール血症でなかったら全部含めたスタディです。 シンバスタチン(40mg)の治療により、冠動脈疾患と脳卒中の発症率を有意に低下させました。脳卒中の内訳を見ますと、脳梗塞、脳塞栓、脳血栓の虚血性脳卒中はよく予防されているわけです。また、従来日本ではコレステロールを下げ過ぎると脳出血を起こしやすいと言われていましたが、本試験ではコレステロールを十分下げても脳出血は増やすことなしに、すべての脳卒中を減らしています。 年齢別の解析では、75歳以上の人はコレステロールが高いと治療するかどうか迷うところですけれども、今回の成績では75歳以上の人にもよく効いています。だから、かなり高齢の人でもスタチン治療というのは有効です。 それと、先ほどのケアスタディでは、LDLコレステロールが低い人は効果がなかったのですが、HPSスタディでは、LDLコレステロールが正常あるいは低めの人に使っても高値の人と同程度に有効でした。これはいわゆるスタチンのプライオトロピック効果(コレステロールを下げるだけの力ではない)を示していますし、先ほどのガイドラインで100以下の管理を推奨する根拠とも言えます。 |
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| それから、もう一つ。コレステロールを下げ過ぎるとガンが増えるとか、脳出血が増えるとか、死亡危険度が3倍に上昇すると発表されました。コレステロールを治療する側からは心配な成績ですけれど根拠がないわけではありません。J-LITの成績で、これはあくまでも全例を治療して、治療した後の脂質値によって分けたものですが、総コレステロールを下げ過ぎると総死亡はむしろ増える。何が増えるかというとガンが増えることが示されました。 これは全例治療した上での話ですから、スタチンでコレステロールが下がったからガンが増えたという根拠にはまったくならないと思っています。スタチンによるガンの発症を否定する成績も、HPSで示されています。死亡の内訳を見ますと冠動脈疾患が減っていますが、腫瘍の発症には影響がない。総死亡が減っているのは心血管病が減少したからで、他の病気にはまったく悪影響を及ぼしていないことになります。 |
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| スタチンのプライオトロピック効果(LDLコレステロールを下げるだけではなく、多彩な作用を有する)の根拠を説明します。 一つはスタチンを使った群とプラセボ群のオーバーラップ層(コレステロールの値は同じ)で心血管病のリスクを解析した成績があります。もう一つは、心筋梗塞の急性期にスタチンを使ったらどうなるか、つまり急性期ですからコレステロールを下げる効果とは関係ないわけですが、急性期のも心血管病の発症を抑制している。もう一つは安定・不安定プラークの概念で、単にコレステロールを下げて、動脈硬化を予防してプラークを量的に減らしてイベントを抑制するのではないということです。 |
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| オーバーラップ解析について | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| オーバーラップ解析で、プラバスタチン群とプラセボ群の間にコレステロールに差がなし。この群を解析したらLDLコレステロール以外のスタチンの効果が見られるという発想です。冠動脈イベントはオーバーラップしている層でもスタチンの投与により明らかに低下している。つまり、これはスタチンのLDLコレステロールを下げる効果以外の効果と言えます。 それと、プライオトロピック効果の一つにLDLの粒子サイズに与える影響があります。小さくて重いSmall dense LDLは、LDLの受容体と親和性が低く、内外の酸化ストレスに弱くて酸化LDLになりやすい。そうしますと、LDLのサイズを変えることができたら、スタチンのプライオトロピック効果となります。 Small dense LDL、小さくて重いLDLが心血管病の発症と関係があるかを日本人で調べた成績があり、LDLのなかでも小さくて重いものが悪いということになります。 これは我々がアトロバスタチンを使ってLDLの亜分画がどういうふうに変わるかというのを見た成績ですが、HDLは増え、LDLが大型化し、スタチンの効果はLDLの量を変えるのみではなくて、サイズを変えていることになります。 HRTの話ですけれども、HRTは我々が数年前に習ったときは、冠動脈疾患を40%減らすと習ったわけです。そのような外国の論文も結構あったわけですが、全部後ろ向きのスタディで、前向きのスタディは無かったのです。そのあと、ハーズを初めいろいろな前向きスタディが組まれて、報告されましたが、残念ながらHRTによる循環器疾患へのメリットを証明することができていません。その原因として、一つはHRTがコレステロールを下げる、HDLを上げるというのは間違いない話なのですが、VLDL、TGを上げるという成績があります。それから、先ほど言いました小さくて重いLDLを上げる。悪いLDLを上げる。あるいは動脈硬化は炎症であるというのは大昔からある説ですけれども、その炎症のマーカー、CRPとか、HRTが上げる、これが悪いのではないかと言われています。 |
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| Small dense LDLを閉経の前後で比較すると、閉経後は小さいLDLが中心になってきます。つまり、LDLがSmall化するということになります。ですから、女性が閉経後、心筋梗塞などの発症が急に増えるのはLDLが上がるということもありますけれども、一つは粒子型が小さくなるという問題が大きいと考えられます。 そこで、HRT、エストロゲン補充療法をするとLDLサイズがどうなるかと言いますと、直径がさらに下がる。HRTをすると大きいLDLが減って、小さいLDLが増えるわけです。ですから、女性というのは二重に、一つは閉経によってLDLの粒子が小さくなる。もう一つはHRTによってさらに小さくなる。これがHRTのいい効果が出ていない原因ではないかと考えられています。 それで、HRTとスタチンを併用したらどうかという話が出ました。CRP(動脈硬化は炎症であるという説からCRPは動脈硬化のマーカーになる)はHRTをすると上昇します。シンバスタチンの併用がこの上昇したCRPを低下させ、スタチンを組み合わせることによってHRTのいい面を失わずに、悪い面を相殺してくれる可能性があるわけです。 |
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| 副作用に関しての情報もきちんと患者さんに伝える必要があると思いますす。ミオパチーには必要以上に神経質になっているようですが、高齢、女性、小柄な虚弱体質は、やはり特に注意をしたほうがいいようです。それから慢性腎障害のある患者では普通はあまり使いません。クレアチニンが上がってくると注意をして使っていただきたいし、他の薬も併用している場合がありますので注意が必要です。それから周術期の患者では、手術の間ぐらいはスタチンを止めてあげたほうが安心と思います。 薬の併用に関しては、フィブラート系の薬と併用が悪いのはよく知られています。特にジェムフィブロジル、これはまだ日本では発売されていませんけれども、とセルタ、バイコール(セリバスタチン)の併用で横紋筋融解症が多発したので市場から撤退したのは有名な話です。あと、抗真菌剤であるとか、アミオダラン等との併用時は注意が要ります。 |
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| 質 疑 応 答 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 司 会 |
どうもありがとうございました。何かご質問とか、何かございましたら。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 質 問 |
JLITですと、ガンの死亡が増えることによってコレステロール血症が増えたと言われたのですけれども、それとガンの発生が変わらないというのはまた別と考えたほうがいいのではないでしょうか。死亡とはまた別だと思いますし…… | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 佐 々 木 |
JLITは世界でも例をみない特殊な試験方法で、5万人全員にスタチンを使って、それの脂質の下がり具合で心血管イベントの発症率や総死亡を解析しようという話ですから、要は比較する対照群がないわけです。これまでも、コレステロールが下がりすぎるとガンの発症が増えるという論文があったのですが、それは観察の初期のことです。JLITでも、5年の間にガンが発症して死に至るということはやはり考えにくい。従って、やはりガンがもともと潜在的にあって、それがLDLリセプターをオーバーエクスクエッションさせた結果、LDLが過剰に下がる。つまり、ガンがある人はコレステロールが低い。逆に言うと、コレステロールが低いとガンが増えたような現象になったのだと思います。今、言いましたようにきちんとしたプラセボを用いた試験で、コレステロールの低下によりガンが増えたという報告はありません。 それからもう一つガンが増えないという報告で代表的なものは4S試験というやはりシンバスタチンを使った成績がありますが、そのスタディでは最長8年フォローアップしてガンが増えず、むしろ減る傾向にあったわけです。だから、スタチンでガンが減るエビデンスはありませんが、増えることは考えにくいと思います。 |
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| 質 問 |
先生、CTKが高い人がいますが、それで皆がなんとなく気持ち悪いけれども、それかといってどうしようかなといつも思うのですけれども。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 佐 々 木 |
ベースでも高いということですか。使ったら上がったということですか。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 質 問 |
いや、そこら辺がいっぱいよく聞くのですけれども、何か時々測りますと、そしてそれが少し上がっているという気持ちなのです。だから、時々下がっていっている。私も訳が分からず、どこか節々が痛いですかと聞いても何ともないですと言われるのです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 佐 々 木 |
コレステロールが、例えば1カ月、2カ月抜いてそんなに急に悪くなるということはないと思いますので、どうしても心配だったら一度スタチンを止めてみて再検査するというのが一番確実な方法だと思います。 私も実際300を超えてくると少し気にして一度抜いてみたりして測ってみますけれども、CTKというのは何も薬を飲んでいなくても高い人は結構います。それから、もちろんマッサージをしたり、運動をした後は上がりますし、降圧薬のなかにもCPKを上げる薬剤は結構ありますから、他の薬の可能性もないかと一度考えたら良いと思います。普通の人で、合併症も何もなく、併用薬もない人で本当に横紋筋融解症が起こったことがあるかと言いますと、実際経験ないわけです。ほとんどの先生は経験ないと思います。腎不全で起こったら別ですけれども。ですから、そんなに怖がることはないと思いますが、私も500以上上がったら取りあえず一度止めます。300以下の上昇は使いながら様子を見ます。問題は300から500の間です。そこはどうするかといっても、状況を見て判断するようにしていますけれども。 |
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| 質 問 |
やめてみてもし下がればいいのですが、あまり下がらない人もそれでまた…… 二日で変えてみてもその人はやはり同じぐらいなのです。よく行ったところで300いくらだったと思います。だから例えばリボバスとかが上がって、ネボラスシンが出たら上がらないということもないのですよね。 |
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| 佐 々 木 |
ベースが高いのから薬によりさらに上がればこれは少し問題ですけれども、普通は薬によるものでは無かったならばそのまま使います。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 司 会 |
先生、どうもありがとうございました。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||