|
|
「経膣超音波をめぐる最近の話題―高周波経膣プローブの有用性―」 医療法人竹村医学研究会 小阪産病院 院長 竹村 秀雄 先生 |
<経膣経腹超音波プローブについて>
経腹超音波プローブは、3.5〜5.0MHZが用いられているが、最近の経膣プローブでは9.0 MHZまででるものが出てきた。
周波数が高いものほど、きめ細かい画像が得られるが、到達距離が短くなる。最近発売された機種では、到達距離が以前よりも長くなっている。
超音波プローブの周波数(MHZ)による焦点と分解能の差
表1
図1
<9.0 MHZを使用した場合>
・6週→ 胎芽や卵黄嚢がよりはっきり見える。
・7〜9週→ 胎児と羊膜の区別がつき、週数を重ねると胎児の四肢などの形状がはっきりとわかる。
・胎児奇形(脱脳症など)の診断→ 10週から12週で判断することができる。
・前置胎盤など→ 5.0 MHZの画像で診断していたが、7.5〜9.0 MHZの画像でも、深い部分まで見ることができるようになり血管拡張などの観察がくわしく出来る。
<妊娠初期異常について>
1、多胎
2、流産
3、胞状奇胎
4、子宮外妊娠
5、胎児異常・奇形
6、子宮・卵巣異常
<多胎について>
多胎による児のリスク
1、低出生体重児
2、子宮内胎児発育遅延、discordant twin
3、双胎間輸血症候群
4、奇形(結合双胎、無心体など)
5、子宮内胎児死亡
多胎診断のポイント
1、早期に経膣エコーで診る
2、胎芽の数とGSの数に注意(1絨毛膜;2絨毛膜)
3、1絨毛膜双胎では羊膜の数に注意
4、各々の児の生存・発育をチェック(1児死亡時の対応)
分離発生時期と種々のtypeの出現頻度 図2 妊娠各週までに双胎と診断し得たものの率 図3

<子宮外妊娠について>
子宮外妊娠の診断
1、卵管にGS(Tubal Ring)を認める。
卵黄嚢、胎芽、児心拍などを含む。 (子宮外妊娠)
2、附属器腫瘤像(Echogenic Mass)を認める。
卵巣(黄体)との鑑別、ダグラス窩液体像
HCG値の推移に注意し再検。腹腔鏡を考慮 (子宮外妊娠の疑い)
3、附属器所見を認めない。
子宮の側方だけでなく背側、腹側、頭側も注意して見る。
HCG値に注意し再検。試験掻爬を考慮 (流産との鑑別)
子宮外妊娠の超音波所見 図4 子宮外妊娠の診断と治療のアルゴリズム 図5

中絶、流産、子宮外妊娠手術後の血中hCG値 図6 左卵管妊娠例におけるhCG値の推移 図7

<内外同時妊娠について>
内外同時妊娠の頻度
1948年 De Vee 1/30,000妊娠 (0.003%)
外妊頻度×2卵性双胎頻度として計算
1990年 Bright 1/3840妊娠 (0.026%)
1991年 Rizk 30/2234妊娠 (1.3%)*
1993年 森 13/1728妊娠 (0.75%)*
* IVF-ET等による妊娠
子宮体部・頚管同時妊娠D&C後hCG値の推移 図9

子宮外妊娠の待期的管理法
・β-hCG<200mIU/mlで減少しつつあること(88%は自然吸収される)
・バイタルサインが安定していること
この様な患者には待期的管理が役立つことがある。(Level C)
( Medical Management of
Tubal Pregnancy. ACOG Practice Bulletin, 1998 )
<胎児の一過性形態異常について>
一過性形態異常
・ 生理的臍帯ヘルニア
・ 後頚部浮腫
・ 胎児水腫
・ 脈絡叢嚢胞
・ 臍帯嚢胞
・ 腎孟拡張
胎児の臍帯ヘルニア 図9 頚部リンパ管腫の成立 図10

<Nuchal
translucency(NT)について>
Nuchal translucency(NT)
・NTの計測法
・NTによる染色体異常スクリーニングは?
・NTと胎児異常
・NTと染色体異常
Nuchal translucencyの測定法 図11

Nuchal translucencyの測定法
1.妊娠11週から13週6日の間に測定する。
2.経膣エコーでも経腹エコーでも良い。
3.CRL測定に適当な矢状断面で測る。
4.CRLが少なくとも画面の3/4以上に拡大し、キャリパーは0.1mmの精度に。
5.胎児頚部皮膚と羊膜を混同しないように。
6.後頚部の皮膚と頸椎を被う軟部組織の間の最大径を複数回測り、最大値とする。
7.胎児静止位(neutral position)で
8.臍帯巻絡のある時は上下で測り、少ない方をとる
(Nicolaides KH. et al: The 11-14-weeks scan,1999)
Nuchal translucencyの程度とトリソミーの危険率表2 NTによる染色体異常の検出率 表3

NTによる胎児異常スクリーニング
・NT単独、又は血清マーカーと一緒にスクリーニングして、胎児の染色体、心臓他の異常を発見しようとすることは、将来有望だが、まだ研究段階である。
・NTの測定法や判定基準が標準化されることが必要である。
・妊娠初期のNTスクリーニングの有効性が、今後の研究で証明されるまでは、臨床的なルーチンとして推奨できない。
( ACOG Committee
Opinion, 1999 )
NTの厚さと件数 図12 NTの厚さと胎児異常率 図13

NT陽性症例の胎児異常
A群 3.0〜3.9mm: 自然流産(14週):1例
(34例) VSD(U型):1例
水腎症:1例
B群 4.0〜4.9mm: 胎児水腫:1例
(12例) 軟口蓋裂・足指変形合併:1例
Rubinstein‐Taybi syndrome:1例
C群 5.0〜5.9mm: 胎児発育遅延 (−4.2SD、 −1.8SD):2例
(6例) (内 Cornelia de Lange syndrome 1例)
D群 6.0mm以上: 胎児水腫:3例(内 18トリソミー 1例)
(10例) Cystic Hygroma:2例
複雑心奇形:1例 ※
18トリソミー:1例
21トリソミー:1例
※ 大動脈縮索症・両大血管右室起始・ASD
羊水検査施行例と胎児異常
A群 33例中 2例 2例とも正常核型
B群 12例中 0例 −
C群 6例中 4例 4例とも正常核型
D群 10例中 6例 18トリソミー 2例
21トリソミー 1例
正常核型 3例
※ 1999年、2000年の2年間での染色体異常例数 6例
(18トリソミー 2例、21トリソミー 3例、Klinefelter syndrome 1例)
Nuchal translusensyと心奇形(染色体正常例) 表4
<質疑応答>
|
司会 |
質問はございませんか? |
|
質問 |
10週未満で胎児が死んでしまうケースが多いのですが、心臓の奇形でしょうか? |
|
竹村 |
妊娠初期の場合50〜70%が染色体異常だといわれています。経腹超音波が普及しだした頃、胎児心拍がみえるのは、8週くらいからだったため、胎児心拍がみえれば大丈夫と云われた時代もありました。しかし、経膣超音波ができてから、自然流産の30%は、心拍がみえてから流産になり、心拍がみえたから大丈夫というわけではない例もある。それを除く10週以後でしたら、ほぼ大丈夫かと思います。 |
|
質問 |
バニシングツインの頻度はどのくらいですか?私のところで30%ありました。 |
|
竹村 |
施設の特長がでるかと思います。たとえば不妊治療をされている施設ですと、多いかと思います。私のところは、よそで不妊治療を行って、安定してから通院されてくるので、双胎児―死亡はそんなに多くはありません。10%くらいかと思います。 |
|
質問 |
子宮外妊娠の手術は、腹腔鏡ですか? |
|
竹村 |
私のところでは、腹腔鏡手術はできない。状況を説明して腹腔鏡手術を希望される方は可能な施設を紹介しています。 |
|
質問 |
子宮外妊娠をカラードップラーで見た場合、12週未満の胎児の様子や子宮内の様子はどのようになっていますか?それについて研究されているDrはおられますか? |
|
竹村 |
胎児が生きている時となくなった時では、血流がかわるので、カラードップラーの画像は診断の参考程度にとどめています。クロアチアのクルヤック教授が超音波に関する講演で妊娠初期の子宮外妊娠をカラー撮影した画像を紹介しRIが低くなるとしています。 |
|
司会 |
先生、ご講演ありがとうございました。 |