「帝王切開をめぐる最近の諸問題」

近畿大学医学部産科婦人科学教室 教授 星合 昊 先生
<分娩の今昔>
古いお産 現代の分娩
主に座位
地獄のようなお産
犬・猫と同じお産
自分で産む

わが身を護る
親子のきずな
(こころの子育て)
仰臥位
快適な分娩


産ませてもらう
産ませてくれる
医師・助産婦への信仰
依存と絶望
出産とはリスクが伴うものであったが、
産婦人科医の努力により、母子健体は、
当たり前の時代となった。
帝王切開に関するnewsweek(4/12)記事
帝王切開を選ぶ妊婦が増加中!
一昔前緊急処置
●最近はあえて帝王切開を選ぶ妊婦が増加
●1996→帝2004倍増(現在出産の30%がC/S)
●妊婦の1割が希望(陣痛が避けたいため)
●医師も逆子、前回帝切の場合、安全策として
 帝切を選択する傾向
●経膣出産では、膣の裂傷、産後の尿失禁が
 起こりやすい報告もあり(逆のデータもあり)

 様々な俗説があり、信頼できる科学的データを
 見つけたい!
◆帝王切開の要約と絶対的適応
<帝王切開の要約と絶対的適応>
要約
 @母体・胎児の全身状態が手術に耐えられる
 A児は生存しており、胎外生活が可能である
絶対的適応:選択的帝切として帝切を予定する
 @絶対的狭骨盤
 A児頭骨盤不適合
 B軟産増強靭、高度の狭窄で産道開大不能な
  場合
 C全前置胎盤
 D骨盤内腫瘍・子宮頚部筋腫で産道を圧迫開大
  不能の場合
 E子宮頸癌等で産道開大困難な場合
 F胎児重複奇形等で産道通過が不可能な場合
<帝王切開の比較的適応
母体側に適応が発生 胎児側に適応が発生
@前置胎盤・妊娠中毒症(子癇)・常位胎盤 
早期剥離、切迫子宮破裂
A児頭骨盤不適合の疑い
B分娩遷延、分娩停止、難産道強靭症、
子宮内感染
C母体感染の危険(外陰ヘルペス症等)
D母体の重篤疾患(心・肺疾患等)
@胎児ジストレス
A臍帯脱出、上肢の雑脱出
B胎位・胎勢異常
C巨大児、未熟児(低体重児、IUGR)、奇形
その他の適応
@既往帝切
A社会的適応
(高齢妊婦、不妊治療での待望の児、など)
◆産婦の希望による帝王切開は許されるか?
●選択帝王切開は母児の予後が良い
●分娩時の疼痛/恐怖心の回避
●出産後の性器脱、尿/便失禁、性的機能低下の防御
●分娩誘発・鉗子分娩・骨盤位牽出術など母児へのリスクを回避

◆不妊↑
◆次回妊娠時の子宮外妊娠↑
◆次回分娩時の子宮破裂↑
◆次回分娩時の原因不明の死産のリスク↑
◆次回妊娠時の 前置胎盤↑ 癒着胎盤↑
「説明したことを、カルテに書いておけば、医療事故過誤などが発生した場合、リスクに対する策をこうじていた証明となる。」
<骨盤位は帝王切開か?>
結果(RCS) 帝王切開 経膣分娩 相対危険度(p)
@周産期死亡
 低周産期死亡率の 
 高周産期死亡率の 
3/1030(0.3%)
0/514(0.5%)
3/522(0.6%)
13/1030(1.3%)
3/511(0.6%)
10/528(1.9%)
0.23(0.07〜0.82)
 p = 0.01
A新生児羅病率
 低周産期死亡率の 
 高周産期死亡率の 
14/1030(1.4%)
2/514(0.4%)
12/522(2.3%)
39/1026(3.8%)
26/508(5.1%)
13/518(2.5%)
0.36(0.19〜0.58)
 p = 0.0003
総計(@+A)
 低周産期死亡率の 
 高周産期死亡率の 
17/1030(1.6%)
2/514(0.4%)
15/525(2.9%)
52/1030(5.0%)
29/511(5.7%)
23/528(4.3%)
0.33(0.19〜0.56)
 p = 0.0001
 予定帝切では差がない
<骨盤位の周産期予後悪化因子>
予知因子 オッヅ比 95%信頼区間 P
分娩様式
 陣痛発来前の帝切vs経膣分娩
 分娩早期の帝切vs経膣分娩
 活動期の帝切vs経膣分娩

0.13
0.21
0.57

0.05−0.38
0.06−0.69
0.32−1.02
<0.01
<0.01
 0.01
 0.06
分娩第2期
 0min       vs>60min
 0min 〜30min vs>60min
 30min 〜60min vs>60min

0.15
0.34
0.73

0.06−0.38
0.14−0.80
0.29−1.86
<0.01
<0.01
 0.01
 0.51
生下時体重
 >3500g vs 2800〜3500g
 <2800g vs 2800〜3500g

0.16
2.13

0.59−2.27
1.20−3.80
0.03
0.67
0.01
「予後が良いものは、陣痛発来前、分娩開始から1時間以内、胎児の体重が3500g以下である。」
骨盤位分娩トライアル基準 (日本母性保護産婦人科医会)
●妊娠週数  妊娠35週以降
●推定児体重 2,000〜3,500gr
 (境界領域 1,500〜2,000gr 3,500〜3,800gr)
●胎位     単臀位、複臀位、複臀位に近い足位
●胎勢     児頚部の過伸展(反屈)がないこと
●胎盤     胎盤異常がないこと
●骨産道   十分な広さの骨盤であること
●軟産道   頚管が成熟し、骨盤底組織が強靭でないこと
●合併症   分娩経過に関係する合併症がないこと
●分娩施設  緊急帝王切開ができること
帝王切開回数によるVBAC成功率と子宮破裂率
帝王切開回数
症例数 13,594 2936 792
トライアル数 10,880(80%) 1,586(54%) 241(30%)
VBAC成功数 9,063 1186 190
VBAC成功率 83% 75% 79%
子宮破裂数 63 29
子宮破裂率 0.6% 1.8% 1.2%
<帝王切開後の前置胎盤・癒着胎盤>
前回帝王切開後の妊婦を取り扱ううえで、VBAC 以外の問題点として前置胎盤・癒着胎盤についても重要な問題となっている。
1991年から1992年の全国妊婦死亡率原因調査によると詳細な検討を行えた197症例のうち、帝王切開症例は72例であった。この72例のうち、帝王切開が妊産婦死亡の原因として強く示唆された症例は32例を占めていた。そのうち術後出血によるものが妊産婦死亡の原因と考えられた症例は14例存在し、うち5例が前置胎盤で、これはすべて既往帝王切開症例での前置胎盤症例の危険性が高いことを示す有力な証拠と考えられる。
<帝王切開回数による前置胎盤発症率と進入胎盤発症率>
帝王切開回数 4〜6
全症例数 92,917 3,820 850 183 29
前置胎盤症例数 238 25 15
前置胎盤発症率 0.26% 0.65% 1.80% 3.00% 10.0%
癒着胎盤症例数 12
癒着胎盤発症率 5% 24% 47% 40% 67%
「帝王切開の回数が増えていくほど、危険度が増していく。妊婦の希望で帝王切開を受け入れていてもいいのだろうか?」
◆帝王切開後の前置胎盤・癒着胎盤  (大野病院事件)
<前置胎盤とは>
定義
 胎盤が内子宮口の全部または一部に付着していて、胎盤が胎児より先進している状態を言う。胎盤が子宮下部に付着しているが、内子宮口に近接していない場合は、低位胎盤とし、子宮口に接している場合は辺縁前置胎盤とする。
合併症
 (1)癒着胎盤:前置胎盤では、胎盤の付着部位が子宮下部に近い。子宮下部は脱落膜の形成が不十分なため、胎盤の絨毛が脱落膜を超えて子宮筋層内に進入しやすい。この状態が癒着胎盤であり、前置胎盤では正常な位置の胎盤に比べ合併しやすい。

<癒着胎盤>
通常胎盤付着部位においては、胎盤絨毛組織と子宮筋層との間には脱落膜層が存在するが、この
脱落膜層が欠損し胎盤が直接子宮筋層に癒着placenta accretaという。
★分娩2,000〜4,000例に1例

<癒着胎盤の原因>
正確な原因は不明であるが、次のような子宮側に原因があると推測される症例が多い。
◆既往帝王切開術
◆前置胎盤
◆多産婦
◆子宮内膜炎
◆既往子宮内用除去術
◆Asherman症候群治療後
◆その他(子宮筋腫核手術後など)
<癒着胎盤の診断>
分娩前に超音波による診断が可能であったという報告があるが、たいていの場合あらかじめ診断をつけることは非常に困難である。通常は胎児晩出後出血が多く胎盤の用手剥離を試みたときに、剥離面が存在しないことにより診断される場合が多い。
胎盤用手剥離で剥がれる付着胎盤adherent placentaとは異なる。無理に剥がすことにより、大量出血、ショックとなり、母体死亡の原因の一つである。
<癒着胎盤時の帝王切開後の子宮摘出>
あらかじめ嵌入胎盤や穿通胎盤と診断されている場合や、開腹時、子宮壁を通して胎盤が見えるものは迷わず子宮摘出する。また胎盤剥離を試みるも剥がれなかったり、止血不能例でも直ちに子宮全摘を行う。
<癒着胎盤時の子宮温存法>
経膣分娩後で出血がコントロールできている例や、胎盤を剥がさず出血していない例にかぎって試みる。通常感染を防止し待機する方法とメソトレキサート、エトポシド、アクチノマイシンDなどの化学療法とがある。化学療法は静脈内に投与されるが、近年エトポシドやアクチノマイシンDの動脈内投与も試みられている。しかし、感染や大量出血の合併症もあり、その際の予後はかえって悪くなることも承知しておく。2〜3週毎の化学療法を1〜3、4周期行い、開腹もしくは経膣的に剥離する。
<癒着胎盤の予防対応>
臨床的には癒着胎盤の診断と対応に習熟する必要がある一方、発症予防が最大の課題である。子宮筋層の瘢痕が子宮内面に及ばないようにし、子宮内膜の発育障害が起こらないようにすることが大切である。帝王切開時の子宮筋層縫合は十分に注意を払い、内膜面がきちんと合うようにする。
◆術後静脈血栓塞栓症 (肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症)
 肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)は、静脈系で形成された塞栓子(血栓、脂肪、腫瘤、空気、羊水中の胎児成分など)が血流に乗って肺動脈を閉塞し、急性および慢性の肺循環器障害を招く病態であるが、その多くは深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)からの血栓遊離によるため肺血栓塞栓症(pul−monary thromboembolism:PTE)をさす場合が多い。これらは合併することも多いので総称して静脈血栓塞栓症(venous throm−boembolisim:VTE)とよばれている。術後血栓症はこれまで本邦では比較的まれであるとされていたが、生活習慣の欧米化などにともない近年急速に増加している。
「肺血栓塞栓症は、大阪府で年に1人が死亡している。7年程前のスタディで術後深部静脈血栓症が、無症状であってもMRIで10%の患者にみられた。特に婦人科では肥満と女性ホルモンがリスクとなり、そのリスクを抱えた患者に多く見られる。無症状なのでそのまま見過ごされて、自然に融解されていくことが多い。」
肺血栓塞栓症
肺血栓塞栓症は閉塞部位や範囲、閉塞状態によって無症状のものから呼吸困難、ショック症状を呈し、死にいたるものまでさまざまである。栄養血管である気管支動脈からの血液の供給が低下すると、肺組織の壊死が起こり肺塞栓(Pulmonary infarction)となる。肺血栓塞栓症のほとんどは帝王切開術後に発症するが、下肢の血栓症状が全くなく、突然発症するPTEもかなりみられる。

産科血栓症の病因(Virchow‘triad)
@血液凝固能の亢進
 妊娠中は、凝固亢進・線溶抑制・血小板活性化。血液濃縮による血液粘性亢進(妊娠後半期のHct37%以上は要注意)。Thrombophiliaなど
A血流の停滞
 性ホルモンによる静脈平滑筋弛緩。長期臥床例や肥満例で筋ポンプの減少。妊娠子宮による下大静脈や骨盤内静脈の圧迫。Iliac compression syndiome(左下肢に血栓ができやすい)など
B血管内皮の担傷
 分娩や帝王切開による子宮や骨盤内静脈の損傷。妊娠中毒症や感染(前期破水、子宮内、術後、産褥期)による血管内皮障害

血栓症のリスク因子(一般的)
血栓症の家族歴・既往歴(thrombophilia) 肥満
抗リン脂質抗体陽性 高脂血症
心疾患 糖尿病
(うっ血性心疾患、心筋梗塞、不整脈など) 高年齢
長期安静臥床 喫煙
(車や飛行機内での長時間座位を含む) 悪性腫瘍
血液濃縮(ヘマトクリット40%以上) 重症感染症
脱水 外傷・骨折
中心静脈カテーテル留置 その他
血管カテーテル操作 長時間の手術など
血栓症のリスク因子(産科領域)
●高齢妊娠(35歳以上)
●肥満妊婦(妊娠後半期のBMI27以上)
●重症妊娠中毒症・前置胎盤・重症妊娠悪阻・切迫流早産・多胎妊娠などによる長期ベッド上安静
●産褥期、とくに帝王切開術後
●常位胎盤早期剥離、子宮内胎児発育不全の既往
 (Thrombophilia and gestational vascular complication)
●血液濃縮(妊娠後半期のヘマトクリット37%以上)
●卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
●著名な下肢静脈瘤など
「婦人科では、高齢の卵巣癌に下肢静脈瘤がみられる。その患者に足のポンプをつけたところ、肺血栓塞栓症が増えた、浮遊血栓を飛ばすことで肺塞栓が増えたと思われる。そこで超音波で浮遊血栓をみつけた場合はヘパリン治療を行ってから手術を行っている。」
静脈血栓症の一般的予防
@早期離床:
通常、術後24時間以内には歩行を開始。そのために十分な疼痛除去対策が必要。
A下肢拳上、膝の屈伸、足の背屈運動など
B弾性ストッキング(Graduated compression stoking:GCS)
C間欠的空気マッサージ(intermittent pneumatic leg compression:IPO:足底マッサージのAV impulseと下肢マッサージのSequential compression system:SCD)
D脱水予防(十分な輸液:1500〜2000ml/日は必要)
手術後は全例に行うことが望ましい。
◆反復帝王切開における癒着の発生率
結果(癒着スコア)
スコア スコア基準 全症例 前回の帝王切開時に
腹膜縫合実施
前回の帝王切開時に
腹膜無縫合
合計 191 18 40
グレード
癒着なし 139
(73%)
15
(83%)
19
(48%)
癒着はあるが、
癒着剥離の必要なし
12
(6%)

(11%)

(10%)
癒着剥離実施・
子宮拳上不可能
17
(9%)

(6%)

(17%)
分娩前に癒着
剥離実施
23
(12%)

(0%)
10
(25%)
婦人科手術後癒着の発生率
対象手術 (n) 癒着発生率 報告
子宮筋腫検出率 (20) 80.0%
(16/20)
虎ノ門病院 産婦人科
卵管性不妊
子宮内膜症
子宮筋腫検出術
子宮外妊娠手術
(10)
(7)
(7)
(2)
87.1%
(付属器:27/31)
北里大学 産婦人科
不妊症
子宮内膜症
卵巣腫瘍
卵管閉塞
骨盤内癒着
子宮筋腫検出術
単頚双角子宮
(39)
(22)
(8)
(16)
(24)
(7)
(1)
76.2%
(48/63)
岡山大学
他 11施設
術後癒着のデメリット
子宮内膜症手術後
●子宮内膜症性不妊症の
予防後の決定因子
一般的な手術後合併症
1.手術後合併症
 1)イレウス(サブイレウス、消化管障害)
 2)疼痛
 3)不妊(女性)
再手術時の癒着剥離が困難
 1)手術時間の延長
 2)予期せぬ出血、多臓器の障害
社会的損失
 1)医療コストの増大
 2)患者の社会活動の制限
慢性骨盤痛の原因疾患
1.婦人科疾患
 1)子宮内膜症
 2)癒着(手術後・PID・他)
 3)子宮筋腫・腺筋症
 4)骨盤内鬱血症候群
2.消化管疾患
3.泌尿器疾患
4.筋骨格系疾患
5.心理的疾患

術後癒着の原因と対策
1.腹膜損傷(ガーゼ・手術器具・癒着剥離)
 →縫合・癒着防止剤など
2.血液塊の残存 → 腹膜内洗浄
3.感染 → 感染予防
4.異物(縫合糸・手袋パウダー)
 →異物反応の少ない縫合糸など
5.→腹腔鏡下手術・マイクロサージャリー

癒着防止法
●十分な止血
 ◆止血剤:ベリプラスト、ボルヒール
        ティシール、タココンブ
        アビテン、オキシセル
●損傷腹式表面の物理的隔離
 ◆吸収性:セプラフィルム、インターシード
 ◆非吸収性:ゴアテックシート、シリコンシート
 ◆キセラン
 ◆腹膜移植術
・その他
 ◆消炎剤:NSAIDs、ステロイド
 ◆血液凝固系の抑制:ヘパリン
癒着を防止するためには、異物が残っていては効果が見られない。
癒着は3・4日から始まって10日目くらいに腹膜は修復する。
◆帝切のための母体搬送の留意点 (病診連携)
@準備  妊婦本人および家族に母体搬送の理由を説明する。
       高次医療機関へ母体の状況を報告する。
       搬送受け取りの確認する。救急車を利用する。
       その他
A処置  母児のバイタルサインのチェック
       静脈の確保(輸血または輸液)
       気道の確保 尿道カテーテルの留意
B連携  紹介状を手渡す
       医師から医師への病状の引継ぎ
C搬送後の整理・搬送前後の状況をカルテに記載
       家族への説明と同意内容をカルテに記載
       処置内容の確認
       搬送先での説明内容をカルテに記載

●胎児適応、母体適応あるいは両者の適応か
●緊急で書類を書けない場合は病状・検査データ処置を後でFAXで送る。後日郵送等する。
●高次医療機関との連絡がとれている。
●必要な救急処置を施し、あるいはしながら搬送する。
●医師(一次あるいは高次医療機関)の同乗が必要である。助産師・看護師が付き添う。
●搬送先の高次医療機関での治療の内容についてはふれない。
●妊娠23〜24週など救命しても重篤な後遺症を残すこともある場合、妊婦および家族が蘇生を希望しているか否か不明な場合も多い。また、希望が急に変わることもある。したがって、高次医療機関へ搬送したほうがよい。
●気道確保、止血処置などに必要な器具を携帯する。
●不足なものは後で連絡(FAXなど)する。
●本人家族に説明した内容も話す。
●メモにとったものを後で整理する。
●処置内容が紹介したものと異なるときは必ず連絡する。
●受け取った医師の説明も記載
◆これからの産科診療は?
産婦人科医療事故(日本産婦人科医会集計:H12.5-14.4:225件)
事故 発生件数 母子死亡数 児死亡数
人工妊娠中絶事故
分娩事故
@分娩に伴う母体異常
A分娩に伴う新生児異常
B産褥期の異常
新生児管理事故
産婦人科手術事故
外来診療事故
輸血による事故
妊娠中の管理事故
14

57
96

15
13
16

6.2

25.3
42.7
2.2
6.7
5.8
7.1

4.0


21








16
27





225 100 27 49
産科医、厳しい労働くっきり(厚労省研究班)
●産科医の週平均労働時間は61.0時間。
 大学病院65.1時間、一般病院59.5時間、
 診療所60.0時間
●当直回数は月平均16.7回で、
 大学病院5.2回、一般病院6.6回に対し
 診療所は217回と多かった。
●96.9%が当直明けに継続して勤務

産婦人科医の年間休暇
平均50.4日
 大学病院(26)  →57.9日
 一般病院(208)  →68.9日
 診療所(166)   →38.6日
  
「厳しい勤務状態などから、10年前にくらべ産婦人科医・小児科医などが減少してきている。そのことに危惧を感じた群馬県小寺弘之知事などが関東の知事会議で、(1)産婦人科医や小児科医を一定期間、義務的に病院に勤務させる。(2)産婦人科医・小児科医の診療報酬を上げる。(3)産婦人科医や小児科医の医療訴訟に対する負担を軽減する。といった措置を求めた。
 また産婦人科医の努力により周産期死亡は減少してきている。海外の分娩事情をみても、周産期死亡率が3.6%と最も低く、医師による分娩が主流となっている。そのため妊婦に出産は安全という安心感があり、一昔前は初産は大きな病院で出産していたが、初産からアメニティーで快適な環境の個人病院を選択する傾向が高い。」

<緊急提案>
ハイリスク妊娠・分娩を取り扱う公立・公的病院は、3名以上の産婦人科に専任する医師が常に勤務していることを原則とする。
問題点と対策
産婦人科学の発展と産婦人科専門医養成に責任を有する学会の立場から、産婦人科の新規専攻医の確保を重視する観点で、問題点とその対策について述べる。
(ア)医療紛争問題:訴訟リスクの高さが産婦人科専攻を考慮する際の最大の障害。
@中立的医療紛争処理機構の創設:
A「無過失補償制度」の早期創設:「分娩時障害による脳性麻痺」及び「妊産婦死亡」を対象とすることを希望する。
厚生労働省が新しい周産期医療体制のイメージとして提案している、総合周産期母子医療センター・中核的病院が中心となり、それぞれの地域の母子医療の充実を図る計画がある。実施に向けてそれぞれの地域の特異性があるので、全部の都道府県に体制が浸透するか・・・という問題点を含んでいる。