絨毛膜羊膜炎からみた切迫早流産の病態とその管理
神戸大学医学部産科婦人科学教室 講師
武内 享介
| どうもご丁寧なご紹介ありがとうございました。 今回、この研究会で適当な話題ということで、以前ファイザー製薬さんに依頼されて「PTM」という雑誌に紹介してきたような事について、皆さんにも興味をもっていただけるかと思い、いまから述べさせていただきたく思います。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 絨毛膜羊膜炎というのは、実際の所、僕も3〜4年ぐらい前までは、ただの膣炎であるということで、それが理論的には理解していたんですけれども、では、それが早産、流産にどう結びつくのかという点があいまいな所でした。「カンジタ、トリコモナス、ちょっとしたおりものが増えた」 その程度ではないかという軽い気持ちでいったわけです。 けれども、私の参加しております兵庫県産婦人学会の総会のときに、浜松医大の寺尾教授に来ていただいて、絨毛膜羊膜炎についてのお話をいただきました。それらは、全然別個の病気ではない。平たく言えば、膣炎がひどくなって、頚管炎になり、それが絨毛膜羊膜炎に発展し、早産、流産を起こしていくのだというようなお話をしていただいたのです。それがきっかけで、研究というほどでもないのですけれど、日常の診療で詳しく見て注意していくようになったんです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 寺尾教授の話より、膣炎→頚管炎→絨毛膜羊膜炎の経過を辿ることを意識し、診察で観察するようになってまいりました。 早産の原因にはいろいろあると思うんですけれども、きょうは絨毛膜羊膜炎ということに絞ってお話をしたいと思います。 絨毛膜羊膜炎というのは、各論ございますが、あるところでは、早産の主要な原因の大体20%から30%というふうに言われています。重要な点は、妊婦にとって絨毛膜羊膜炎は早産の原因というだけではなく、Wilson-Mikity症候群、新生児の早死、あるいは、PVMの結果として生じる脳性麻痺というような発症の原因になっているのではないかというようなことが、今、疑われております。絨毛膜羊膜炎という疾患をとらえる上で一番大切なのは、一般に、あくまで基本的なんですけれども、予防が可能である、また早期であれば治療が可能であるというようなことがポイントではないかと思われます。絨毛膜羊膜炎が、発生してしまえばなかなかその対応は難しいのですけれども、発生を早期診断、あるいは予防するということが可能なだけに、早産の減少の一つのキーワードになるのではないかと思っています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 妊娠週数別の早産率というのを見ますと、1994年ぐらいのデータと思うのですが、28週未満が0.2、28週から31週が0.4、そして一番多いのが32週から36週の4.0、このようなスライドになっています。32週から36週、この辺りはたとえ早産になってもほぼインタクトサバイバルは可能であるという週数であると考えるならば、やはり、非常に心配なのはこの0.2、あるいは0.4の31週未満の早産をいかにして防いでいくかが焦点と考えられます。そして31週未満の早産の中で絨毛膜羊膜炎の関与する割合はかなり高いというふうに考えられています。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 生命予後だけではなくて、インタクトサバイバルに関する長期予後というのを見てみますと、やっぱり体重1000g未満の赤ちゃんというのは、インタクトサバイバルが75%、4人に3人、逆に言えば4人に1人は何らかの異常を残してしまう結果となりやすいと言われています。これらの中で多いのが脳性麻痺、あるいは癲癇など、頭の神経に関係するものや、視力障害や、呼吸器関連と、いわば「精神発育」「視力」「呼吸」とこの3つでほとんどの異常を占めるというような状態になっています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 大体週数別の相談の長期予後を見ますと、22週で生まれればほぼ100%異常であると、23週から少し下がっていくのですけれども、やはり31週ぐらいになって初めて30週から少し下がったかなというようなところで、やはり、大学病院でも、神戸大学病院でも出産センターということでいろいろ赤ちゃんの答え合わせを送られてくるのですけれども、世間の中では大学病院に行ったら28週ぐらいでもなんとか助かるのだというようなことが言われているのですが、やはり、これは大学病院の統計ではないのですけれども、28週でさえも何らかの境界領辺を入れるとやっぱり20%ぐらいは異常を残してしまうということで、早産の予防というのは非常に大切な問題になるというふうに思います。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| これが早産に関連し、多胎で、最近特に体外受精の発達によって多胎が増えていますので、これはどうしようもないところがあります。あと、羊水過多、羊水過多というのは胎児に問題が、あるいは、お母さんのPROM、そういう羊水過多、何か合併症、胎盤の異常、子宮筋腫であり、頚管無力症であると。頚管無力症は別としまして、大体この辺りはなってしまったら、いまさら防ぎようがないというところも非常に多いところですが、20%から30%を占める感染症というのは、もしかしたら予防が可能ではないかというふうに考えて日常診療で当たる必要があるのではないかなというふうに思います。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 早産合併症の病因、早産時ということになりますが、一つはPVL、脳性麻痺、呼吸器、さっきも申しましたように脳性麻痺・呼吸障害・視力障害と。問題として、早産による臓器の未熟性というのがもちろんあります。例えば脳頚管、網膜の発育の不全、細胞発育の未熟性と。それに加えて、早産を引き起こすような要因、すなわち、この場合は絨毛膜羊膜炎なんかによる胎内環境の悪化が早産の未熟性に加えて、早産時に生み出した悪さをしているのではないかなというように考えられます。これは当たり前なことを書いたんですけれども、発症期機序というのは子宮収縮でであり、頚管熟化であり、PROMの破水であると。抑制と促進とのバランスが崩れるときに早産が起きてくるというふうに言えます。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 早産は、抑制と促進とのバランスが崩れると起こる 分娩はあまり日常異常に特に関係ないと言えば関係ないですけれども、今回の話しの流れで分娩を抑制する因子というのはプロゲストロン、CRH(corticotrophin releasing hormone)のバインディングプロティン、胎児に尿意が行くトリプシンインヒビターなんかというようなことが教科書に書かれています。CAM・絨毛膜羊膜炎から起きてくる高サイトカイン血症というところから見てみると、プロゲストロンというのはサイトカイン抑制作用があると、CRHバインディングプロティンというのはCAMではCRHバインディングプロティンが低下しているということが言われています。あと、胎児尿に由来トイレック・イン・イー・フィルター、これはいわゆるミラクリートというお薬になっているユリプリナスタシンですけれども、もちろんサイトカイン抑制作用があると。胎児の放尿ではPROMが生じやすいと。これは日常でよく経験するなと思うんですけれども、例えばウオーター症候群であるとか、胎児の放尿をきたすようなものでは尿が少ないので、トリプシンインヒビターが少ない、でない何らかの反乱が起きやすいというようなことが言われていますし、あと、汚い分娩手術が分娩されてきて羊水が減ってくるというときでも普通の高位破水というのが起きやすいと。また後で話が出てくるのですが、破水には、いわゆるバチャッと全部破水してしまう破水と、高位破水が日常によくあると思うんです。普通に破水してしまうというのはやはり炎症、絨毛膜羊膜炎、あと頚管炎なんかの炎症から頚管の近くで炎症が起きて何らかの体液が出るというのがいわゆる破水で、高位破水という状態ではやはり胎児の放尿であるというトリプシンインヒビターの量が少ない、あるいは、胎児が奇腫胎内で胎児仮死状態になることによって便失禁をすると。そういうトリプシン、胎児の便の中にはトリプシンというのがあるのでトリプシンの状態、トリプシンが出てきて卵膜を分解するというような高位破水が胎児の状態では起きやすいと思います。 一方、分娩発来促成因子というのは、こういうようなプロスタグランジンであるとか、オキシトシンであるとか、そのレセプターおよび分解酵素なんかがあると思います。問題なのは、外的刺激と、外的刺激はもちろん感染、物理的刺激、指で内診したときに卵膜剥離、もちろん機械的に破水さすと。外的刺激だけではなくて、一番問題なのは、外的刺激に対して発生した炎症に対する生体反応と、これが日常で非常に問題になってくると。おなかをぶつけたとか、内診をし過ぎたとか、そういう外的刺激だけでは比較的少ないと思います。結局は、その外的刺激に対して、サイトカインネットワークが過剰に働きだすというようなことが、脱落のような刺激にサイトカインネットワークが過剰に発現するというようなことがいわれております。羊膜炎に伴う破水というようなことを考える上で非常に大切になります。
外的刺激(特に羊膜炎等)により
膣頚管炎から絨毛膜羊膜炎への移行のメカニズム
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 早産の予防と書いてあるのですけれども、表の妊娠分娩例を見たら、早産を防止するには、細菌性膣症、頚管炎もこういう炎症に的を絞って早産を予防するのが一番効率がいいのではないかなと。 多胎妊娠を作らないようにするのが究極の早産予防なのでしょうが、なかなかそういうわけにいかない。羊水過多・子宮奇形というのも臨床したら分かってしまう。筋腫合併・筋腫もやっぱり妊娠して数などを考えれば、とりあえず予防が簡単にすぐ出来そうなのはこの辺ではないかなと。頚管ポリープでもあれば、これも、最初、妊娠初期に取って置いたほうがいいというのは言われていますし、広範囲に罹患、もちろんクラジミア感染があれば、切る必要がある。というのは、このあたりは、実際に、対処可能ではないかなというふうに思います。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 細菌性膣症と、もちろんご存知の方も多いと思うんですけれども、細菌性膣炎ではなくて細菌性膣症ということが早産の、特に早産・絨毛膜羊膜炎の関係において注目されています。概念というのは、膣の中には乳酸菌、乳酸単菌、ラクトナシアスなどが多いのですが、それがいわゆるトネララジナーレスというようないわば陰性桿菌であるとか、嫌気性菌マイコプラズマ痕ですね、マイコプラズマ類に浸されてしまったような状態です。いわゆる細菌性膣炎と違うのは膣炎症状がそれほど強くないと。写真から、こういうようなことが言われていますがなかなかこれを日常の臨床で簡単にするというわけにはいかないので、少し体液が多いと、もしPHが出れば、PHを見てみると。それからそんなに小さな破壊の炎症性、炎症の反応が強くないというようなことを見たときに細菌性膣炎という概念を思い浮かべるというのが実際の所ではないかなというふうに思います。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 細菌性膣症から見た早産予防効果 BVに由来するのですが、まず、陽性者に対する抗生物質投与は早産予防効果があると。要するに、我々がしているようなクロマイ膣錠を入れるとか、そういう局所治療ではなかなか早産の予防効果がないのではないかと。経口抗生物質を飲ます必要があると。これはもうかなり大きなスタイルであっちこっちでやっているので、ただ、飲ますのですが、BVをきちんと信頼できるかどうかがまず問題になってくるので、そういう今のオウスに、すでに抗生物質を飲ます必要は今は持たないので、その辺は難しいところです。治療方針としてアメリカのCDCが出しているのはクリンダマイシン、まあダラシンというようなお薬ですけれども、クリンダマイシン、これは嫌気性菌に特に強い抗菌性を有します。先ほどのスライドでお話をしましたように、スライドA型タチマリウスとか、嫌気性菌であるとか、マイコプラズマであるとか、こういう普通一般の培養ではなかなか出てこないもの、特にザルトニアタチマリウスというのはなかなか普通の培地では生えないと。嫌気性菌というのも、よほど嫌気性菌にターゲットを絞って研究の対象、そのように入るものでないとなるになれば、我々は依然、膣から培養して出てくるようなGBSであるとか、E.Coliであるとか、全く別の、それでは全く捕らえ切れないような細菌がBVで悪さをしているというふうに考えることができる。これはブラジールのことなんですが、これ、経口作用を表しているとあるのですけれども、経口行為を行うと。でも、日本でもブラジールの経口投与がほとんどされていないので、せいぜいするとすればブラジールの膣錠を入れるかなと思うんですけれども、アメリカでは経口投与を行うことがいいのではないかと。ただ、このブラジールの経口投与さえ、ニッシンさんの以外は禁忌であるというようなことが言われています。 スライド19
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| CAMの診断ということなのですけれども、古典的な診断基準になりまして、熱発する、頻脈になる、子宮に悪腫がある、おりものが、羊水がちょっとくさい、白血球が高いというような、組織的に体内に炎症が存在するというようなことが言われています。ここまでくれば、それはだれがみても診断できるのですけれども、あとできることは赤ちゃんを出すことしかない、ここで診断しても、予防と妊娠期間延長ということから見れば、あまり役に立たないと言えます。ですから、母体発熱とか、そういう臨床症状が出る前になんとか診断出来ないものかということで、先ほどのサイトカインの測定をしてみたらどうかなというようなことが言われています。 感染が起きて、サイトカインがそこから感染の刺激によってbacterial vaginosisにケイハイ細胞が刺激されて、サイトカインが放出されて、そのサイトカインが、あるものは管中を刺激してCRVを出すだろうし、発熱を起こすということになれば、細菌そのものをすぐにチェックできるようになれば、細菌の感染の結果、反応性が起きてくる局所のサイトカインを想定してみたらどうかなということが言われています。羊水と頚管粘液と、この二つが局所になるわけですけれども、どちらも羊水そのものを取るわけですから子宮内環境を見事に反映するということが測定の上で非常に好ましいのですが、ただ、普通、切迫早産にもしかしたら絨毛膜羊膜炎と疑わられるかもしれないなと言っているような人には羊水穿刺が簡単には出来ないということで、かなり侵襲的な検査ではあると思います。ただ、例えば、27〜28週であって、かなり羊水感染が疑わられると、高サイトカイン血症と疑わられる、このような患者さんを子宮内に置いておいたほうがいいのか、出して治療をしたほうがいいのか、そういうぎりぎりの選択が必要になってくる場合に、こういう羊水検査というのが非常に重要にはなると思われます。 羊水穿刺を日常でやるにはなかなか侵襲的であるとすれば、羊水に一番近い、おそらく頚管粘液というところからサイトカインであるとか、エラスターゼなんかを測定するのはどうかなというような考え方が出てくるわけです。実際、羊水中のサイトカインであるとか、羊水中のエラスターゼと、頚管粘液中のサイトカイン、頚管粘液中のエラスターゼを計ってみると、ほぼ綺麗に相関すると言われています。であれば、頚管粘液中のそういう物質を計ってみるというのが一つ、実際、臨床的に役に立つというふうに考えられます。 ただ、経管粘液中のサイトカインが測れないわけではないのですが、そのキットが買えられないですし、もちろん保険は通ってないとなれば、サイトカインそのものが測られるならば、何度も申しましたようにサイトカインが好中球を遊走させて、好中球が脱作用するときに出てくるような顆粒球エラスターゼというのを計ってみるのが一ついいのではないかなというふうに言われていまして、こういうふうに局所の好中球の数に比例すると言われています。これはコマツヤ先生の論文から引用したのですけれども、切迫早産の話を2週間前から重症する、ところが発症の2週間前から重症すると、だから切迫早産の予防、あるいはPROMの予防には重要であるのだというようなことをコマツヤ先生たちは言っています。もう一つは、胎児フィプロネクチンPTDチェックというようなことで、これは羊水中とか卵膜に存在するようなもので、以外とこれが絨毛膜羊膜炎の検査になるかと言えば、絨毛膜羊膜炎がだんだんひどくなってくると、ここに書いていますように絨毛膜と脱落膜との間の蛋白が分解されて羊水中のフィプロネクチンがぽろぽろと頚管内に落ちてくると、こういうことを頚管でチェックできるんだと。ということは必然的にもちろん利用成立は少ないです。ただ、これが絨毛膜、脱落膜の細胞間が開いてくれば、球体というのはかなりCAMが色であると、かなり強い炎症であるというようなことが言われるので、これが出ればまず羊膜炎はあると言い切っていいのですが、なかなか早期診断、いわゆる一度ぐらいで見つけたいなと思うときにはあまり役に立たないというふうになります。なぜかこれが役に立つのではないかなと言われていますが、多分、皆さんも使っている方も多いと思うんですけれども、なかなかどうかなというところがあって、これが実際使ってみてどこまで頚管炎をリジェクトできるのかというのが、私も実際使ってみて思いましたが、なかなか出せないところが実際のところなんですけれども、頚管炎をリジェクトできるということと、頚管炎が、だからといってその人がほとんど、その人たちが絨毛膜羊膜炎を発症するという確率はかなり低いと言われているのです。そうであれば、頚管炎をリジェクトしても、頚管炎のリジェクトにはいいのですが、頚管炎と絨毛膜羊膜炎との間にそれほど関係がないとすれば、それは頚管炎の診断薬ではないかなというような反論も最近出ているようです。理論的には、これが炎症の強さを表すというふうにされています。
外来におけるCAMの治療 外来でできるところと言えば抗菌療法、局所療法、膣錠の局所療法、漸進投与、抗生物質、抗炎症療法、UTI、ミラクリッド膣錠、膣腺腫イソジン洗浄、このあたりがあると思うんです。この中でミラクリッドの膣錠というのはまだもちろん試売されていませんし、いろいろ試売されていないものを使うということでかなり気楽に使えるものではないのですが、病院によってはミラクリッドを溶かして基剤に混ぜて膣錠を作っている所、あるいはミラクリッドそのものを薄めてそれで洗浄している所があるようですが、なかなか膣錠ほどは簡単には使えないと思います。ただ、局所療法の膣錠はあまり役に立たないというふうには言われていますが、それは産婦人科にいる人は切迫早産兆候のある人にいきなり抗生物質はなかなか出しにくいところもあると考えれば、ある程度の局所療法から始めて、状況を見てというような、一つ選択肢のようなものと思います。イソジン洗浄というのは、かなり有効であると言っている方もいらっしゃいます。
切迫早産、PROMに対する抗菌療法ということになってくるわけですが、この局所療法のクロマイ膣錠、ブラジール膣錠、これらは日本で一番使われている膣錠だと思うんですけれども、特にブラジールというのは嫌気性菌にかなり強い抗菌スペクトラムを有します。嫌気性菌というのはここにも書いていますように、炎症があれば最初は好気性菌ががんばる。好気性菌ががんばってその辺の酸素を全部使い切ると今度は酸素の無いほうが好きな嫌気性菌がどんどん、どんどん増えてくるというふうに言われています。臨床症状というのは、この両者が交差する辺りで出てくるのではないかなと。となれば、理論的には膣炎が起きている状態で好気性菌にしか効かない薬を使っても完全に膣炎を抑えきれないのではないかというふうに考えられます。嫌気性菌にはバクテロイデスとか、ぺプトストレプトコッカスとか一般の膣の培養のコンテナではもちろんこういうのは出てこないので、嫌気性菌がどれだけ繁殖しているかと知るよしは無いのですが、膣炎が強いということは少なくとも嫌気性菌はかなりがんばっているはずだという認識が必要と。漸進投与になって、この辺がアメリカの臨床試験の結果なんですけれども、ですから、こういうブラジールの膣錠なんかが嫌気性菌に強い抗菌スペクトラムを積んで有用であると。ただ、日本ではブラジールというのはトリコモナスしか適用は通っていませんので保健所の縛りはあると思うんですけれども、理論的にはこれは有用であると。もちろん、アメリカでもブラジールの軟膏になった、クリームになったものがあるのです。漸進投与になるんですけれども、PROMが無い例、要するにおなかが切迫早産という例に、クリンダマイシン、これダラシンといってもこれも嫌気性菌管炎に強い抗菌性スペクトラムを持つのですけれども、これでは妊娠期間の延長が得られるという報告があります。ただ、出生児の罹病率に関しては有利が定まらない。PROMの例、ここではAMPCとプリスロマイシンを併用している例、あるいはSBT/ABPCの抗剤の投与によって、上はギャマで、下はボルセッサですけれども、妊娠期間の延長と新生児の罹病率の低下と、この二つの効果が得られるということで、PROM例に関しては、抗生物質の投与が有用である。特にこのAMPC、変わった漸進ですけれども、エリスロマイシンを併用しているというところが非常に問題になるところだと思うんですけれども、エリスロマイシンというのはマイコプラズマより、かなり抗菌スペクトラムを有するお薬なのです。最初からお話しておりますように・・・
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 一方、UTI、フェルマリー・ジュピター、ミラクリッドのことですけれども、この作用機序としまして子宮収縮抑制剤というのが、これは別なのですけれども、これが子宮収縮を抑制すると。あと、抗サイトカイン療法、エロスタグランジンなんかがあると思います。スタイルを直接抑制すると。UTIというのは、まず酵素の阻害作用があるということが言われています。あと、UTIそのものに子宮収縮抑制作用があるのではないかという報告もあります。あと、抗サイトカイン作用というようなものが考えられます。それにプラスして抗生物質による抗菌療法というのが有用であるというふうに言われています。プロスタグランジンというのは、いわゆるボルタレンとか、インドメタシンとか、そういうようなものですけれども、これもやはり32週以降にはもう使わないほうがいいと。28週ぐらいで、27〜28週でどうしても妊娠期間をもう一度延長したいというときにやむを得ず使うというお薬とすれば、日常の外来で使うというお薬ではないと思います。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| こういう切迫早産に対するUTI、ウリナスタチンの用法なんですけれども、この理論的根拠というのは、まずプロテアーゼの阻害であります。もちろん、膵炎に使うようなお薬ですからプロテアーゼの阻害剤であると。そのプロテアーゼの阻害をするということは、エラスターゼの作用を止めるということ、抗サイトカイン作用がある、インターロイキン1β、PAT作用の抑制をするということから見れば、絨毛膜羊膜炎に起因する切迫早産治療としては非常に理にかなった治療薬であるというふうに考えられます。臨床予防としてはいろいろある。浜松医大の論文なんかでは1万単位、2万単位から、千単位とか、1万単位となるのですけれども、多分、一番多いというのは千単位を、ミラクリッドは1万単位・5万単位になっています。千単位なんかは50個は増えると思うんですけれども、千単位に膣錠を作って行うだろう、総合すると。どこまで使ってもいいかというのも、なかなかまだ保険の承認さえなっていない薬なので、一応子宮伸縮効果が得られるまで漸進投与をして、得られた時点で投与の中止をして、1週間ぐらい様子を見ると。だからエラスターゼのチェックなんかをしてみるというようなことが報告されています。 ブラジールの膣錠がいいと言っているのですが、僕自身も試薬というのがあまり使ったことがないので、簡単に使わないので、やはりクロマイをベースにして、ミクロマイビバリリツを、それとイソジンの洗浄剤と、この3者で様子を見ていく。治療をしていく場合は、非常に効果が多いということです。エラスターゼで早産の予防ができるかと言うのは、おなかがバンバン張っていてCRTが上がってこないとエラスターゼが陽性にならない人、あるいはエラスターゼが陽性に、何もしなくても結局早産を起こさなかった人等いろいろあり、エラスターゼだけで早産・絨毛膜羊膜炎が予防できるということではないような気がします。ただ、早産でのおなかが張っている人を見れば、昔であればマウンテンビーンとかマツバジランを投与して様子を見ていた時代から一進んでいます。そういう状態の人がいれば、まず局所所見、子宮の懐胎、胎児の成長をみます。又、絨毛膜羊膜炎が発現していないかということを注意して見れば、早産の発症率というのは、自分自身かなり減ったのではないかなと考えています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
■
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| これが最後ですけれども、こういうCAMが疑われる切迫早産に対する外来管理方針、これもかなり無理があるかもしれません。ただ、今、言いましたように切迫早産の兆候があり、帯下の増量が見られたとなれば、まずエラスターゼであるとか、フィブロネクチンなんかを計ってみるのが一つ必要ではないのかなというふうに思います。今の時点では、もうこれしかないですし、将来的にはインターロイキン6であるとか、インターロイキン8であるとか、そういうキットが出されるかもしれないのですけど、とりあえずそういうのはこれしか無いですので、これを見てみると。これでもし陽性であれば、やはり、何らかの炎症がまず有るであろうと。判断できると思いますし、軽度であれば外来で、ゲンビーマイン、抗生物質の局所投与を行います。そうするとUTIなんかが有した問題はそういう情報にあったと予想されます。臨床症状が高度であれば、かなりの割合で敏感にもなりますし、点滴を行う、抗生物質の漸進投与であると。この抗生物質の漸進投与ですけれども、いろいろな抗生物質があると思うんですけれども、嫌気性菌が抗菌スペクトラムを持っているということに、こだわる必要はないと思います。ただ、その中でマイコプラズマコミットという普通の抗生物質が効かないような関係が主に効くような感染路を防ぐということを、やはり、可能性だけど考える必要があると思います。一般の抗生物質で、症状がなかなか治まらないときは、例えばデジストマイシンであるとか、クライスノとか、そういうのを1回試してみるというのも一つの方法ではないかなとは思います。一方、エラスターゼやFFNの測定で陰性だった場合というのは、軽度であればそのままいままでどおりの受け入れになると当然そうなるでしょうし、あと、流すようになってくるように、張り出すようなってくるのであれば、子宮収縮用のを点滴をするというふうになります。ここではやはり、培養をし、培養を取っていて、培養の結果が陽性に出るというふうになれば、例えば、エラスターゼが陰性なんかでも細菌感染が起きているということで、細菌感染の立場からの治療というのが必要になってくるんじゃないかなというふうに思います。終わります。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| << 質疑応答 >> | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ■(K先生)、抗生物質です。セファム系でも構わないということですか? ■武内Dr. どの系をどの状況に適合させるかといった所によるかと思います。例えば、イマシンであるとか、フロモックスであるとか。最近出たお薬は、大概、嫌気性菌もそうなったと思うんですが。 ■(K先生) クロマイの膣錠等を使うのですけれども、本当に妊婦さんに禁忌とかそういうことはないのでしょうか? ■武内Dr. もちろんクロマイのクラウンケンコウリですから、胎児への死産の問題とか考慮しておく必要もあるのですけれども。 絶対大丈夫なのか?と問われると返答に困りますが、今までの経験上は膣にクロマイン膣錠を入れて胎児に問題があったことはないという、もちろん僕だけではなくて、そういう報告は出ています。 ■(K先生) 現実に何日ぐらいまでだったら大丈夫でしょう? ■武内Dr. 判断に難しいのですけれども、クロマイにしてもミラクリートにしても大体1週間をめどに使いまして・・・。1週間で判定して、症状が良くなければ1度切ってみてと考えてみます。 1週間使って効かないものは、おそらく2週間使っても一緒ではないかというような判断をしています。 ■(K先生) BVが疑われる場合、臨床症状が無い場合に、例えばそれは局所療法だけ、様子見にしておいても、何かあったら漸進投与にしておいたほうがよろしいでしょうか? ■武内Dr. もちろん、妊婦ということであれば、もしおなかが張っていなければ、それは局所療法で構わないのではないかと思うんです。また疑われる場合で、妊婦にいきなり抗生物質というのは、アメリカのほうではそうしろと言っているのですけれども、普通やりにくいところがあるのではないかと思います。 ■(N先生) 子宮頚管無力症という状態がありますよね。MASでも細菌が関係しているのではないかと言われているのですけど、実際その辺の関係というのはどうなんでしょうか? ■武内Dr. 子宮頚管無力症は、確かに子宮の頚管の熟化が多分進んでいくということから考えれば、例えば、子宮頚管が炎症をしてその結果がプラズマであるとか、そういうサイトカインが発動して頚管が緩んで、さらに頚管無力症というと、確かにそのいわれで通ると思うんです。もちろん、頚管無力症の中ではそういう絨毛膜羊膜炎、あるいは頚管炎に関係するような頚管無力症は、最初から頚管無力症であるのです。 今まで頚管無力症の一言で済ませていたものが頚管炎の結果であるということがありますし、もしそうならば、頚管を手術しても事態の進展は望めないのではないかなと。早産をしたから、次の妊娠時、頚管をくくっておいたほうがいいよと一律に言うのは確かなことです。これは、考えてみればナンセンスではないかなという感じがします。 ■(N先生) 多分、切迫早産なんですけど、妊娠何週ぐらいからCAMが起こってくると思われますか? 実は、僕、この前妊娠14週で、いきなり、2週間前だと思いますが、菌属体胞が入っていると言われまして、慌ててコウチショウに送ったのですけれど、結局その人は流産してしまったといった症例において、嫌疑ですが胎盤にかなり炎症所見があったと言われたのです。妊娠14週くらいでそんなことがおこるのかな、と。 ■武内Dr. CAMというのは早産だけではなくて、後期流産の重要な原因となっていますので、おそらく、妊娠14週で、下手をすれば妊娠12週、その辺りから起きてきてもおかしくないと思いますし、ただ妊娠18週ぐらいでも体胞が出てきて、手元の障害という患者さんも時々見られますし、その時にほとんど、完全な頚管無力症であれば頚管補修というのも出来ると思うんですけれども、炎症がかぶさっていると、後期流産の予防という観点からも考える。治療をという概念が必要と思いますね。 ■(K先生) 先生、もう一つよろしいですか? クラミジアが最近増えているわけですけれども、初診に来られた時に一応怪しいなと思う人をチェックしまして、ポジティブに出ますよね。妊娠初期の場合ですけれど、そういうのがポジティブに出たら、どれぐらいから治療をしたらよろしいのでしょうか? ■武内Dr. 今、申しましたように、妊娠の後期流産ということに、ただクラミジアは後期流産、それにCAMが合わせかかっていたって、なかなかきちんとしたデータが無いと思うんですけれども、もしかかっているとすればやはり妊娠の初期の終わりというか、中期の初めぐらいから治療を行うというのが、もちろん妊体という問題もありますし、妊娠8週で分かったからっていきなり宿剤というようなものを投与したいと思っても無理ですけれども、やはり後期流産の治療におけば妊娠15週とか、14週ぐらいから治療するのが妥当なせんでないかなと思います。 ■(M先生) スライドで頚管炎の原因としまして、頚管ポリープとか、膣のビランとかというお話があったんですけれども、私自身、妊婦さんの頚管ポリープを早期にとったほうがいいというお話だったんですけれども、幾分出血をしまして、妊婦さんに不安を与えるといいますか、即座にご主人ならご主人に出血したと、ポリープを取るという名目上取られたということで、納得する人もあるかもしれませんが、場合によっては、その後流産をしたとか、これが原因だったのと違うのかとかいう問い合わせがくるかもしれないということと、その膣のビランとのつながりですね、私自身、その切迫早産の方の膣のおりものがどうも膣のビランで分泌される系管粘液のようなものが出ているという印象を持っているんですけれども。そういう系管粘液との絡みから自動ビランが切り替わるので、切迫早産と関係があるんでしょうか? ■武内Dr. 確かにその通りなんです。頚管ポリープがありまして、とったら余計な事して血が止まらなくなったというようなことが確かにあって、理論的には頚管ポリープの周りには炎症作用の侵襲がありますし、頚管ポリープを取ることによって炎症作用が無くなると。だから、頚管ポリーブというのは炎症の感染の温床になるから取ったほうがいいのと、それはもちろん理論的に正しいことだと思うんですけれども、それが安全に取れるかどうかというのはまた別の話しだと思います。かなり、内膜ポリーブというようなものがあって、無理に引き剥がすと大出血するようなこともあると思いますので、その折衷案とすれば、安全に取れるものは取る、あるいは系管の炎症が所見で強いものは、その治療の一環として一遍取ってみると。あるいは、全例取るのかと言われたらそれは確かに先生のおっしゃる通り、怖いなというほうがあります。あと、ビランと系管粘液のことなんですけれども、僕もはっきりわかないんですけど、ビランというのは粘膜の欠如であるとすれば、そこに炎症がもちろん起きやすいだろうというのは推察されるわけですし、炎症がおきれば頚管炎に波及してくるというようなことは可能性としてはあるのではないかなと。だからこそビランがあんなに強い人は治療をしたほうがいいのではないかなというのは、多分、趣旨だと思うのですが、お前はどうなんだと言われたら、がんばっても、がんばっても、それを100とか、200とかは、僕自身はあまりしていないですけども、理論的にはそういうことが言われていますし、そういうことをどんどん実際にされている先生も聞きますので。 話の中でエラスターゼのことをお話ししたんですけれども、僕自身としては、最初はもっと期待したんですけれども、そういうことでもないかなと思うんですが、皆さん、いかがなんでしょうか? もし、経験がある方がいらっしゃったら。エラスターゼをチェックすることで、そういう絨毛膜羊膜炎の発生ということを注意するように見た結果として、早産の発生は確かに減ったという印象があるんですけれども、エラスターゼそのもののチェックで、きちんとあがる羊膜炎の早期発見であるとか、病態のフォローアップができたかと言われたら、あまり全然関係のない症例も多くて、どうかなというところが実際のところです。もう少し感度の得意技なりなんかが出てくれば、少し役に立つのかなと思います。 ■司会 質問がたくさんあると思うんですけれど、一応、時間となりましたので。ありがとうございました。食事の方に回りまして、そこでまた、ご質問がありましたら、食事を召し上がりながら先生と……。それから、挨拶を一言お願いします。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||