京都産婦人科研究会


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平成10年11月 研究会講演録

今日は11月の産婦人科研究会をこれから開催させていただきます。今、持田さんのカラードップラーの説明でございますが、産婦人科におけるカラードップラーという、また見たいという方がありましたら持田さんに……。
 簡単に書いてございますので読ませていただきます。…大学を卒業されまして臨床の方にお入りになりました。53年の7月に研修医として阪大医学部の産婦人科教室の方にお入りになりました。54年の7月に私立貝塚病院の産婦人科の医局員になられました。56年の7月に阪大の産婦人科教室の方にお帰りになりました。57年の1月から医員となられまして、58年の8月より国立循環器センターの病院の外来の医局員となりました。平成5年の4月に国立循環器センター病院の専門外来の産科医長になられました。平成6年の1月から阪大の産婦人科教室の分娩育児部というところにお入りになりました。平成10年2月より阪大の分娩育児部というところにお入りになっております。 講師紹介

先生には前に私のところの病院の従業員にLSTの説明の勉強会をやりまして、1回来ていただきまして説明を受けましたら非常に簡潔に分かりやすく説明をしていただきまして、非常に私たちも役に立ちましたので、この度もう1回研究会の方でこんなお話をしていただいたら分かりやすいのではないかと思いまして本日お招きしまして、神崎先生のお話をお聞きすることになりました。先生もなかなかお忙しい方でございますが、話は非常に明解でございまして、また毎年こういうふうな会をやって、先生に来ていただきましてLSTの説明もしていただきたいと思います。私のところでやりましたのは、自分のところで半年間ほどの間に非常に解読しにくいようなケースのグラフが出来ましたものですから、それを全部映写しまして、それを説明していただくといった添削方法みたいなやり方で先生にご説明を受けました。また先生の方でいい例がありましたら、今日持って来ていただいて見せていただくことができると思います。非常に拙い説明でございましたが、よろしくお願いいたします。

皆さん、こんばんは。どうもご紹介ありがとうございました。こういうところに呼んでいただきまして本当にありがとうございます。大学に帰って4年目になるんですけど、最近少しずつ裁判の鑑定を任されることがありまして、最近の裁判といえば大体CTと分娩時の仮死ということになっています。最近ほとんどの例で分娩中のモニターの記録が残っているんですけども、ある時にはモニターは先生方を守ることがあるんですが、ある時はころっと裏に返ってそれが先生方を責める武器に変わるということで、非常に両刃のやいばで。実際に参加して、これからおそらく裁判をやられることはないでしょうけども、CTGをどのように読むかということは、もちろん元気な赤ちゃんを生むということにとっても大事ですが、やはり医者としてちゃんとしてこれからもやっていくためにはきちんと学ぶことは必要だと思います。分娩中の胎児の心拍数さえ付けておけば、何でも分かって何でも解決するというのも間違いでして、何でも検査には限界があります。いいところもあります。ぜひその限界といいところを知って、明日からの診療にもし役立つようなお話ができれば幸いだと思っています。
まず我々の経験した症例からお話しますけども。これは自慢できるケースではなくて、カンファレンスで教授からお叱りを受けた症例なんですけど。42週3日で予定日超過で、この前は入院時は省きましたけど、リアクティブというパターンで何もなかったですけど。分娩が進行するにつれまして、後ほどパターンについては詳しくお話しますが、収縮に遅れておきるレイト・デシレーションが起きている。しかし再変動・ヴァライアビリティはまだある。だから分娩の進行はこのまま見ていこうということで経過を見ていました。分娩の進行はするけども、レイト・デシレーションは消えてこない。「この時に主治医は何を考えたか」というふうに、後のカンファレンスで言われたんですけど。主治医は「エンドだなと思っていました。でもヴァライアビリティがあるから、別に心配ないからそのまま見てました」という返事だったんですけど。何が起きてるかをまず考えなきゃいけないということでお叱りを受けたんですけど。幸い分娩は進行してましたのでこのまま見ていきました。結果的にはこの時何があったのかよく分かりませんけども、ひょっとすれば入院時全くのギャクティブですから、急に胎盤の機能が悪くなるはずもありませんから、お母さんの脱水とか、循環の例えば境界低血圧とかそういったものがあったのかも分かりませんけど、この時点では最後までその原因は分かりません。やがて全快しますと、こういうふうなトロン・デシレーションが起きてまいります。ここで吸引を1回、2回、3回、4回します。我々の大学では3回以上はするなと。実際私も、私自身はやりたくないですけど、8回吸引して帝王切開して、出たら赤ちゃんがもうアプガーが1.0でいくら蘇生しても戻らなかった。よく見ると、胞状ケイマク化血腫で大出血をおこしていて、・・が3ぐらいで、結局循環機能は全く・・・。それで3回以上はするなと言ってました。ところが4回してしまった。その気持ちも分かります。もう1回すれば出るだろうという判断をしてやったんだと思います。 収縮に遅れておきるレイト・デシレーション
結局出なくて、持続的な徐脈が続いて帝王切開をしました。PHが7.07、・・が1.6で、幸いこの赤ちゃんは何も後遺症を残しませんでしたけど、もしこの赤ちゃんが後遺症を残せば、おそらくなぜここで帝王切開しなかったかと、結果から見ればいくらでも物が言える。私が申し上げたいのは、分娩中のモニターというのは胎児の状況がどのようなものであるかということについては我々に教えてくれるけど、そこで何をすべきかということについてはこのモニターからは何も教えてくれないわけです。あくまでも何をすべきかというのは分娩の進行具合、吸引をした場合にそれが出るかどうか、出なかった場合に帝王切開まで何分かかるか、そういった技術、設備の総合的な判断の元に次に何をすべきかが決まるわけで、あくまでもそのモニターからは現在赤ちゃんがどういう状態であるかということを考え、それを教えてくれるだけであるということを承知していただきたいと思います。この場合には帝王切開、この場合には…と書いてありますよね。心拍数のパターンからただちに関連的にこうしなさいというふうな考え方はまずやめていただいて、こういうパターンが出ればその赤ちゃんに何が起きているのか、それから次は何をするかというのは、あくまでも分娩の進行、その時の準備状況、帝王切開にどのくらいかかるか、そういったことを総合して決めていただきたいと思います。本日はこういうチャートから赤ちゃんの状態がどういうふうに分かってくるかという話をしていきたいと思います。 分娩中のモニター
CTGは分かりにくいという話もあります。もう一方で内科医が心電図を見る時のことをご存じでしょうか。私は循環器病センターにいまして内科医が心電図を見て、私自身も心電図を分からん分からんと思ってました。ところが内科医はまず何をするかというと、いきなりコンパスを出してきて、RR間隔を測る、PQ間隔を測る、QTを測る、軸を測る。1個1個ステップを踏んでいって、最後に診断をするんです。我々はとにかく・・の心電図を見て、ただちに診断をしたくなっちゃいますけど、実は専門家は1個1個ステップを踏むわけです。CTGに関しても1個1個ステップを踏む必要があると思います。現在もっともポピュラーな胎児心拍数のどういうところを記述していくべきかという、これは昨年のアメリカンジャーナルに出た文献なんですけど。そういう胎児の心拍数を数多く研究されてきた方々が集まって、・・を出してます。まず胎児心拍数は5つについて1個ずつ記述しましょう。最初はまず胎児の基準心拍数を見ましょう。その次に基線の再変動がどうであるかを見ましょう。一過性の頻脈があるかないかを見ましょう。次に周期性と・・・、これは英語で言いますとテヌイック・チェンジと言うんですけども、日本語で言う早発性、あるいは蠕動性遅発性一過性徐脈と言ってます、それに当たります。そういったものが分娩の進行と共にどういうふうに変わっていくか。例えば基準心拍数が上がってくるとか、再変動が消えていくとか、そういったものが時間的にどう変わっていくか、それを見ていこう。その5つを1個1個記述していって、最終的にこの赤ちゃんがどういう状況にあるかを判断しようと考えればよろしいと言われています。本日はこの1、2、3、4について1つずつそれぞれの正常と病的の・・についてお話をしたいと思います。 内科医が心電図を見る時
 まず基準心拍数ですけど、定義と言葉で書いてしまうと非常に硬い文章になります。ここでご理解いただきたいのは、大体基準心拍数というのは1枚のチャートを見て、その中で1つで決まるものではない。刻々と変化をしている。大体10分間ごとぐらいに変化をしていると考えなさいということです。10分間が平均の心拍数です。ですから20分後にはもう基準心拍数は変わってるかも分かりません。そのぐらい変動するものであるということをまず考えてください。その中で一過性の徐脈とかアクセレーションを除きます。大きな再変動、いわゆるロング・ターム・ヴァライアビリティとかいう大きな再変動は除きます。それから平均心拍数が10分間に20以上変わった場合には、基準心拍数が変わったというよりも、アクセレーションが重なったとかそういうふうに考えて、いくらなんでも25ppm以上10分間に変わることはないだろうというのが現在の心拍数の定義です。実際に我々はどうしてるかというと、チャートを見て大体この辺、この辺と、おそらく皆さんもそうやっておられると思います。そういうふうにして決めてます。そして厳密な診断基準があるわけではないです。これは有名な教科書に出てくるような話なんですけど。心拍数というのは交感神経と副交感神経のバランスで決まるということはご存じだと思います。交感神経が働けば心拍数は上がる。副交感神経が働けば心拍数は下がる。これから申し上げます全ての心拍数の変化というのは、この2つの神経の支配の部分で決まるわけです。大体妊娠週数が進めば心拍数はだんだん下がっていくだろう。それは副交感神経がだんだん発達してきて、妊娠の20週頃は160ぐらいだったのが、40週では140ぐらいに下がってくるだろうと言われてます。もちろん妊娠20週で140でも異常ではないわけです。正常は120〜160、これはどこの教科書にも書いてます。120〜160ppm、その範囲にあれば、どこの週数であってもそれは異常ではありません。特に最近では120でなしに100ppmまではいいんじゃないかと言われています。40週を超えて、特にタービにあれば、100ppmでも充分心拍出量から言えば保たれてるから決してそれは徐脈とは言わなくてもいいだろうと言われています。時々裁判の算定なんかに、100ppmの基準心拍数のことがあるんですが、原告側の弁護士が「100ppmという甚だ激しい胎児徐脈にも関わらず」という表現を使ってます。ところが実際には100ppmであれば、我々は正常な心拍数とまず考えていいと思います。100あれば充分なアウトプットが出せるわけです。100は言い過ぎなんで、110までは正常と、教科書では120ですけど、日常の臨床では110までは正常と考えています。どういう時に基準心拍数がケイトウするかですが、基準心拍数が遅くなる場合というのは非常に珍しいです。珍しいというかほとんどは…。ここで注意しなければいけないのは基準心拍数というのは一過性の徐脈じゃないです。
基準心拍数
一過性の徐脈というのは基準心拍数から心拍数が下がることを言いますから。例えば基準心拍数が160のものが150まで下がれば、これは徐脈というわけです。たとえそれが120〜160の正常値にあっても、基準心拍数から下がれば徐脈と言います。それに対して基準心拍数というのは120〜160の間にあるものが正常で、それ以下のものは徐脈と言って、一過性徐脈と区別するわけです。英語では一過性徐脈はデシレーションに相当するわけですけど、日本でいう120以下のものはプラディカルジャーになるわけです。そういう意味で胎児の徐脈の方、120以下の場合というのは臨床的にはあまりないです。大抵は一過性徐脈で元へ戻ります。戻らないものは・・デシレーションで大抵はそのまま死に至りますから、正常で心拍数が遅くなる場合というのは多くは胎児の不整脈ぐらいです。あとは大抵一過性徐脈かあるいは持続性の徐脈ということになります。 徐脈・一過性徐脈
頻脈の方の原因ですけど、これは心拍数が160を越えれは頻脈と言いますけど。ここに挙げてますように、胎児の低酸素、母体の発熱、薬剤、炎症、貧血、心不全なりとなっています。最も臨床的に多いのは母体の発熱です。我々は胎児に頻脈があれば、まず母体の発熱をチェックしております。胎児の低酸素でなる場合というのは、徐脈などが回復して心拍数が早くなる場合です、こういう場合には低酸素になります。低酸素が胎児の頻脈になるかというと、低酸素に晒されると、胎児からカトガーミが出ますから、そのために低酸素の時には頻脈に向かってくるわけです。これが胎児頻脈の原因です。ほとんど母体の発熱と思っていただければいいと思います。炎症で早くなるかどうかというのはなかなか難しいです。大抵こういう時にはお母ちゃんも発熱しますから、コンセなのかコンセなのか現実には区別することが難しくなります。 頻脈
次に基線の再変動を見ます。基線といいますのは、基準心拍数に相当するところの心拍数の細かい変動です。ヴァライティリティと言うんですけど。その定義は大体1分間に2周期以上の基線の揺れ、1分間2周期ということは1、2です。これ以上のものは、これより大きいものは再変動とは言わなくて、むしろアクセレーションとかデシレーションというふうに呼ぶ。1分間に2周期以上の揺れを基線の再変動と言います。昔は非常に細かい、1拍ごとの心拍数の小ターム・・・と長いタイプのロング・・・を区別してましたけど、今はそんなことは言わなくて、基線再変動として一括して基線の揺れを表現します。それぞれ全く認められない場合、これは定規で引いたように入ります。それから4ppm以下の場合これを減少と言います。それから5以上あれば正常範囲と考えていいわけです。もちろん我々はチャートをパーッと見て大体このぐらいという肉眼的な診断をしています。別に定規を当てて測ったりはしません。大体ショウシツ点以上正常、大きく3つに分けて我々は評価をしています。 基線
我々が胎児の心拍数を見る場合、特に基線再変動を見る場合に注意しなければいけないのは、胎児には睡眠のサイクルがあるということです。皆さんご存じかと思いますけど、胎児は寝てる、起きてるを繰り返している。しかも寝てる場合にはそれがレム睡眠とノンレム睡眠に分かれるわけです。レム睡眠というのはラピッド・アイ・ムーブメントと言って目をキョロキョロさせるようなものがレム睡眠で、大人では夢を見る期間と言われています。それともう1つはノンレムで全く動かない状態。睡眠がその2つに分かれます。それともう1つはアウェイクで動き回ってる状態、大きく3つに分かれると思ってください。これはアクセレーションがなくてべとっとしてるのがノンレムです。ここでアクセレーションが出てくる。これはバスといって音響刺激を与えていますけど。ここで睡眠サイクルがノンレムからレムに変わっています。ノンレムの場合にはアクセレーションはないし、ヴァライティミティも非常に低いです。それに対してレム睡眠の場合にはアクセレーションがあって、ヴァライティミティも大きくなる。アウェイクの場合にはさらにこういうものがアクセレーションがジュウセキして動き回るというパターンを取るわけです。我々が胎児の心拍数を見る時には、この2つ睡眠サイクルがあるということを充分注意する必要があります。というのは、再変動の場合、レム睡眠では・・。これは生理的に正常なわけです。でもここのレム睡眠で低いのは異常なわけです。さきほど言ったヴァライティミティが減少している、5ppmであるということが、例えばノンレムで起きれば基本的に意義はないわけです。それに対してレムで起きてる時にはこれが病的意義があるわけです。現在この子がどちらであるかということが非常に大事なことなんです。実際には、いきなりこれを見たら、この子がレムかノンレムか、ひょっとすればワイルドなのか分からないわけです。それを区別するために我々は現在こういうバスという方法を使ってます。ビブロ・アコースティック・シミュレーション、音響ならびに振動刺激、それをして、普通の子であればこれはノンレムからレムに戻ります。そうするとここで初めてレムに入るから、ヴァライティミティとかアクセレーションの判定ができる。これをしても、尚かつ変わらないものは本当の意味でのアクセレーションがない、ヴァライティミティがないという判定になるわけです。まずどちらにあるかということを我々は区別しなければならない。区別がつかない場合にはバスをしなさい。 基線再変動と睡眠のサイクル
今度はノンレム、レムに関係なく、後から出てくる症例なんですけど、胎児の状態によってその時のあまりヴァライティミティがない状態。時間が経つとヴァライティミティが出てきます。本当に胎児が悪い場合、低酸素の場合にもヴァライティミティがなくなります。その場合悪くて出ないのか睡眠サイクルが違ったら出ないのかはあくまでも、バスをすることによって、それを区別することができます。基線再変動が減るような原因に何があるかと言いますと、正常では睡眠サイクルによってノンレムであれば基線再変動は減少します。それ以外では胎児の低酸素を・・・。こういうことで減ります。薬剤、これは中枢神経を抑制するような薬剤です。こんなものでも下がります。胎児の頻脈。これは例えばお母さんの熱で心拍数が上がりますと、再変動は減ります。それは決して病的ではないんで、頻脈が直れば、すなわちお母さんの熱を下げてやれば、胎児の頻脈が治れば再変動も出てくるということになります。こういう場合には病的なものとそうでないものとの区別がいります。24週とか25週では再変動が少なくても、それが直ちに病的な意義があるとは言えません。それが中枢神経系の異常です。これは非常に重症の水頭症とかそういう問題が出てきます。基線再変動はこういうものが上昇してきます。基線再変動が増えるものというのはまず異常ではないです。それはあまり見たことがないです。元気な赤ちゃんと理解していいと思います。
次にアクセレーションという一過性頻脈。これは今言いましたように、ノンレム睡眠の時には出てきません。元気な赤ちゃんであれば、レムスリープでもしくはアウェイクで認められるものです。定義は妊娠の33週以降であれば…。15ppm以上の基準心拍数から15ppm以上の心拍数の増加が15秒以上続いた場合にはアクセレーションがありと判定します。32週以下の場合には10ppmで充分であろうと言われています。ここを境に定義は15ppmと10ppmで区別してます。これがあればこの赤ちゃんは元気であるということです。厳密に言いますとどういうことかと言いますと、胎児というのは悪くなる時にまず低酸素になります。低酸素になって、それからアチノーシスになるわけです。ハイボキシやアチノーシスと一緒でまた悪くなるんですけども、一過性の頻脈がなくなる、すなわちノンリアクティブというのはアチノーシスになってるということなんです。本当のノンリアクティブというのはかなり悪いわけです。低酸素を通り越して、アチノーシスにいって初めてノンリアクティブになってるわけです。我々が見るノンリアクティブというのはほとんどの場合には睡眠サイクルがたまたまノンレムのためにノンリアクティブになってしまっている。それをなくすために、バスをして真のノンリアクティブか異常のノンリアクティブかを区別しようと。本当の意味でのノンリアクティブはかなり胎児が悪いと思ってください。これは分娩中の普通の赤ちゃんがアクセレーションになったものが、パタッとノンレムに入るわけです。レムからノンレムに入って、アクセレーションもなくなる。特に面白いのは、さっきまでデシレーションがなかったのに、ノンレムに入る途端に徐脈になるわけです。これを見ると赤ちゃんが急に迷子になったかなと思うわけです。ところが再びバスをしますと、またこれがノンレムからレムに返ります。アクセレーションが出てきて、収縮によってレイトは出てこなくなる。これは臨床的にもよく見かけるんですけども、分娩中ノンレムに入ると今まで出てなかったレイトが出てくることが時々あります。こういう時にはどうしたのかなと不安に思うわけですけども、その時にはバス、音刺激をしてアクセレーションの確認をすれば、それはノンレムだから起きたデシレーションだというふうに理解して、これは赤ちゃんが悪いのではないと解釈できます。なぜノンレムでデシレーションが出やすいかというのは、また話が複雑になるので今日はお話しませんけど、元気な赤ちゃんでもノンレムの時には分娩中レイト・デシレーションが出ることがあります。そういう場合にはまずぜひバスをしてみて、アクセレーションの確認とその後のデシレーションの消失を確認してください。
一過性頻脈
皆さんもLSTで分娩前の胎児評価でアクセレーションがあれば、胎児は元気という評価をしていたと思いますけど、それは分娩中でもやはりアクセレーションを見るというのは有意義なわけです。例えば何か不安な心拍数パターン、具体的にはレイト・デシレーションが出るとかあった時に、通常は応急・・するわけですけど、分娩中の場合には内診して膣をきゅっとつまんでやるわけです。そうすると頭をつまんでやると、アクセレーションがあれば、胎児はアチノーシスがないからこのまま分娩をしてよろしい。ところがアクセレーションがない場合にはアチノーシスの可能性があるから、そこで児頭採血をしてPHが7.2以下と出れば早く出しましょう、7.2以上あればまだアチノーシスがないから、もう1回このサイクルを繰り返しましょうになってるわけです。実際には我々は児頭採血は省略してます。ここでアクセレーションがあればこのまま、なければこれは分娩を考えます。分娩を考えると言ったって、これが9センチ、あるいは経産婦の8センチであれば経膣分娩をします。初産婦の5センチであればおそらく帝王切開を選択するでしょう。どの方法を取るかというのは別ですけど、アクセレーションがなければ、胎児はアチノーシスにあると判断をします。ですから皆さんも何か変だなと思ったら、必ずしも児頭刺激でなくても結構ですから、音響刺激でもいいですからまずやって、アクセレーションが確認できれば、これはアチノーシスがないからまだ大丈夫と判断できるわけです。以上が一過性頻脈についてです。今まで基準心拍数、再変動、一過性頻脈と出てきました。
最後に最も分娩中によく見るのが一過性の徐脈です。この一過性の徐脈というのは実は一番頭を悩ませるんです。一過性徐脈というのは3つのパターンに分類されることはご存じかと思います。いわゆる遅発一過性徐脈、早発一過性徐脈、変動一過性徐脈。4つ目は・・です。この4つに分かれます。それぞれ徐脈を見て、これはどれに当てはまるんだというのがなかなか分からないことが多いんですけど、このパターンの定義というのは非常にシンプルなんです。例えばレイト・デシレーションこれは心拍数の低下と回復は穏やかである。ゆっくり下がってゆっくり戻る。そして徐脈の最下点は子宮収縮の頂点より遅れるというパターンを持ったものを我々は別に呼びましょう。この時にその原因が何であるかというのは抜きにしておいて、ゆっくり下がってゆっくり戻って、しかも子宮収縮にタイミングが遅れていれば、これはレイトということです。これに対してアーリーというのは心拍数の低下と回復は穏やかである。ここはレイトと同じです。ところが徐脈の最下点は子宮収縮の頂点に一致する。徐脈の最下点が収縮のピークに一致する。この2点だけなんです。これとこれの区別というのは、あくまでもタイミングが遅くなる。定義はこれだけなんです。これ以上でもこれ以下でもないです。
変動一過性徐脈は心拍数の低下は急峻である。ストンと下がって、6つほど戻る。これが変動一過性徐脈の定義なんです。なおかつこれは子宮収縮と時間的な関係もバラバラである。あるものは子宮収縮より早い、あるものは遅れる、あるものは子宮収縮と共に。深さも幅もバラバラである。それでヴァライアブルと呼ばれるわけです。この特徴は急に下がって急に戻るというのが特徴なんです。心拍数の徐脈の定義というのはこれだけなんです。この中のどれかに我々は徐脈を分類するわけです。ほとんどの場合には、分からなければここに入ってしまうわけです。もう1つはこれが2分以上10分未満続いた場合には、フロー・デシレーション、セイイン性徐脈と言われている。これが10分以上続けば、これは・・。大きく4つに分かれるわけです。この1つ1つについて、発生の意義と臨床的にどう対処するかについてお話させていただきます。
一過性の徐脈
 早発一過性徐脈は児頭が圧迫されて、そのために迷走神経反射が起きて、胎児が徐脈になるというパターンです。これは病的な意義は全くありません。主に子宮口が6センチぐらいに開いた時に一番起こりやすいと言われています。案外この早発一過性徐脈というのは、スライドを探すとなかなかないんですね。ゆっくりか早いかは難しいですけど、ゆっくり下がってゆっくり戻る、ゆっくり下がってゆっくり戻る。ピークとピークが一致する。これがアーリー・デシレーションです。大抵は子宮口が6センチぐらいのとこで起きますから、出てはすぐ消えます。分娩が進行すれば。これは全く心配はいりません。
早発一過性徐脈
一番厄介なのは変動一過性徐脈です。これを臨床的にどうするか。さきほども言いましたように、裁判で問題になるのも実はこれなんです。これの発生メカニズムというのは臍帯の圧迫と言われています。臍帯が圧迫されるとどうしてこんなことが起きるのかということですけど、ここに胎児の血圧、臍帯の静脈、動脈も圧迫をされているところ、それから子宮収縮、胎児の心拍数の変化が書いてます。
動物実験なんかで臍帯を圧迫して血圧を測りますと、子宮収縮が起きると静脈が圧迫されます。静脈の圧が低いですからまず静脈の方が血流が遮断されます。そうすると胎児は静脈の貫流が悪くなりますから血圧が下がります。血圧が下がるから心拍数は上がるんです。だんだん収縮が強くなるとやがて今度は動脈が遮断されます。動脈が遮断されるとどうなるかというと、大きな血管がちょっと遮断されると、・・が高まって、血圧がスコンと上がるわけです。
動物実験でも血圧がポンと上がるわけです。血圧が上がったために、受容体が働いて、迷走神経が反射を起こして心拍数がストンと落ちる。遮断されてますから、血圧が高くなって・・・。やがて遮断が解除されると血圧が元に戻って、心拍数が元に戻って。これが変動一過性徐脈の発生経路です。
これは全然低酸素とかそんなものではないわけです。あくまでも血圧の変動で心拍数が変わるわけです。だからこれは決して危険なものではないと言われているんですが、しかし人間誰でも心拍数が遅くなれば、今度は拍出量が減ります。いずれはこれは拍出量の不足に伴う臓器障害というのは起こりうるわけです。それがどこまで我慢できるかというのはなかなか難しい問題なんですが。
変動一過性徐脈
基本的には変動一過性徐脈というのは決して胎児の状態の悪いことを示しはしないけど、非常に重篤の場合は胎児の血流の障害を起こして、重篤な予後につながるという非常に厄介なものです。今の発生メカニズムをまとめますと、臍帯が圧迫されて、動脈が遮断されて、胎児が高血圧になる。それで受容体が介して迷走神経が働いて、胎児が徐脈になる。こういうふうな経路をとるわけです。
これは典型的なヴァライアブル・デシレーションです。大抵落ちる前には上がります。もちろん上がらない場合もあります。上がるというのは、静脈が遮断されて、胎児の・・が減って、血圧が下がるから、一旦上がるわけです。多くの場合こういうふうに上がります。よく陣痛が起きるたびに心拍数が上がるやつは、いずれ分娩が進行するとヴァライアブル・デシレーションを起こしやすいという人もいます。それは私自身はよく分からないですけど。

このヴァライアブルが出た場合にはどこまで我慢できるか。これには定説はありませんけど、少なくともこれだけのものがあれば安心できる変動一過性徐脈、これだったら何もしなくても分娩を待てるだろうというのが、こういうふうな教科書に書いてます。どんな場合に安心していいか。
1つは持続時間が30秒〜45秒以上ないことです。持続時間というのは、徐脈になって回復するまでが30秒〜45秒以上ないこと。それは安心していいだろう。逆に言えば30秒以上45秒以上あるときには安心してはいけない。何らかのことを考えなきゃいけない。
次にすみやかに徐脈から回復する。すなわちストンと落ちて、パッと戻る。これは安心していいだろう。なぜかと言いますと、心拍数の回復がゆっくりになった場合には胎児は低酸素に陥ってると理解できるからです。心拍数がストンと落ちてポンと戻る間は、単に神経反射だけで済んでるけど、回復が遅くなる場合には胎児が、人間であれば首をしめられたらいやでも低酸素になりますよね。臍帯の圧迫が続けば、いずれは低酸素になりますけど、その影響が回復が悪くなるというパターンに出てくるわけです。回復が良ければまた安心できる。回復が悪ければ安心できない。
重篤な変動一過性徐脈
次に基準心拍数が上昇していない。一旦戻って元に戻ります。この基準心拍数がだんだん早くなってきた場合、これは危険です。だから基準心拍数の戻りが良くて120〜160の間に戻るんであれば安心していいでしょう。それでも早くなったら、これは危険な変動一過性徐脈と考えていいです。

それから再変動が減少してくる。これは基準心拍数に戻った場合でも、落ちた場合でもどこでもいいんですけど、再変動が保たれてる場合ではまだ・・・安心していいだろうということです。これがなくなったらもう・・・・を考えなさい。この4つを基本に変動一過性徐脈をどう扱うかを考えていけばいいと思います。これは先程の話からいきますと基準心拍数は120以下です。早くないですから、そういう意味では安心できるパターンです。ところが回復が遅いです。落ちて、ポンと戻らずにゆっくり戻ります。これは低酸素の影響が強いからです。しかもほぼ20近くあります。これは決していいアシュアリングとは言えません。むしろ落ちて、その後元気だったらいいじゃないかということなんですけど、
危険な変動一過性徐脈
実は変動一過性徐脈で一番問題なのは、この時はいいけども、こういうことは次いつ起こるか分からないわけです。あくまでもアクシデントですから、じゃあ2回目が起きた時にどこまで我慢できるか。3回目が起きた時にどこまで我慢できるか。おそらくこういうふうな脳にアシュアリングなバイブルです。悪いパターンのバイブルをどのぐらいまで我慢できるか。大体3回まで我慢するだろうと言う人がアメリカなんかでは多いらしいです。さすがに3回以上出てくると、帝王切開したいということになるみたいです。別に根拠はないですけど。3回目にもしこれが戻らなければ、どうして3回も起きたのに何もしなかったんだということになると思います。これがアシュアリングなパターンの状況です。回復が遅い、幅が広い。これも同じように幅が広いわけです。

最終的にはこれは吸引してますけど、幅が広いということで早く出してしまった例です。吸引ができるんだったら誰も何もせんよね。なかなか吸引ができないような、7センチ、8センチ、そういう時に一番悩むらしい。これは8センチで、帝王切開ですね。非常にノン・ディアシュアリングな基準心拍数が早くない、回復がすっと戻る、持続が短い、長い、バイアミティがなくなる。そういったことがあった場合にどうするか。絶対的なこうしたら絶対大丈夫というのはないわけです。まずすることは体位を変換する。体位の変換というのはどういうことかというと、臍帯が圧迫してるわけですから、ひょっとすれば動いたら圧迫が解除するかもしれないという・・・。絶対的な治療じゃないです。

例えばCTGで・・が出ますよね、体位を変換したと書くと、それだけでこの人はちゃんと分かって適切な処置をしてるなということになるんです。これが必ずいいわけじゃないけど、これはやはり最低その時には瞬時には行われるべき手段です。たまたま功を奏して、臍帯の圧迫が解除して戻ることもあります。このサイテキとは何かというと、残念ながらサイテキはやってみないと分かりません。どこがいいか分かりません。右に向けてだめなら左に向く。だめなら起こすとか、いろいろやってみる。これがサイテキです。
もしその時にあとに・・・、それは注射を打つべきでしょう。
それから当然ながら臍帯脱出、分娩が切迫性の場合にも、急に胎児が下降してきた場合にもこういうことが起きますから内診は欠かせません。同時に酸素の投入も行う。このぐらいのことは大体瞬時にしなくちゃならん。さらに最近では人工羊水を注入して、・・を消してやろうということもされてます。

我々は帝王切開を決断する前に、一度人工羊水を注入してバイアミティが消えるかどうかを試みてます。それが5、6センチほどです。その時に厄介なのは、フロー・デシレーション。2分から10分間続く徐脈です。こういう場合にはどうするかなんですけど、この原因としては過強陣痛、内診、皆さんは経験があると思います。内診してジンパした途端にドンと来たとか。臍帯脱出ということもありますけど、なぜか分からないけど内診してジンパすると、こういうことが起きる。原因は分かってません。それからこういう・・・。急速な胎児下降。いよいよ全開してそこまで来た途端に下がることはあります。これはあとは出るだけですから、そんなに神経は使いませんけど。
こういうふうなフロー・デシレーションは臨床的には非常に厄介なんですけど。この対処も同じです。・・が出た場合には3回まで来ると、多くの方は帝王切開を決断すると思います。それ以上見るのは。帝王切開する原因というのは4回目には戻らないかもしれない。中には2回で辛抱たまらずに帝王切開する人もいるかと思います。1回の人もいるでしょう。それはその人によって、帝王切開を決めて、実際に帝王切開するまでにどれだけ時間がかかるかによるわけです。大学病院であれば、3回目まで待って、10分か15分で手術室に行って処置ができるでしょう。最低30分はかかるというのであれば、1回目で帝王切開を決断して、そこから準備をしても決して悪くはない。・・・は臨床的にどう扱うかというのはややこしいデシレーションですし、実際問題、裁判なんかで問題になってくるのはこのパターンなんです。 処置の決断のタイミング
最後にレイト・デシレーションです。遅発性徐脈ですけど、それが起きるメカニズムをお話する前に、陣痛と胎盤の血流についてお話をします。これが胎盤です。これが子宮の筋層です。こちらが羊水で胎児がいるところです。これが絨毛幹部です。お母さんの動脈から血液を供給して絨毛幹部にまずたまって、それを胎児がガス交換を行います。これは子宮収縮の内部ですけど、大体母親の動脈の平均的な圧力が85としますと、キンゾウが・・ですから血液は自由に行き来できるわけです。ところが子宮収縮が始まりますと、ここの筋層の圧がぎゅっと上がってきます。すると動脈の血流の遮断が起きるわけです。そのためにこの中の絨毛幹部の中は血流に対して低酸素になる。子宮が収縮するたびに、絨毛幹部というのは酸素濃度が下がってくるわけです。ですからそれは当然胎児の酸素濃度にも影響してくるわけです。子宮収縮が起きれば、絨毛幹部は低酸素になってくる。
これは子宮の収縮、それから胎盤の血流量。子宮収縮が起きれば、胎盤の血流量が減りますので、結果的に胎児の酸素濃度は下がっていきます。普通ですと、正常な胎児の酸素濃度というのは35〜40ぐらいあります。それが胎盤の機能が良ければ、充分胎盤の・・の数が充分あって・・・がなければ、少々収縮が起きたって、酸素濃度はちょっとしか下がりません。だから胎児にはなんの異常を起こさずに充分耐えれます。
レイト・デシレーション
ところが何らかの異常が起きて、胎盤の機能が悪くなった場合、胎児の酸素濃度がある一定の平均値を越えて下がるわけです。イキスは何かというと、酸素濃度を感知する化学受容体のイキスがある。おそらくこれは25mhgぐらいじゃないかと言われています。20〜25ぐらいのところで胎児の酸素濃度が下がると、ここで化学受容体のスイッチがオンになるわけです。そして子宮収縮が続く限りはだんだん下がってくる。収縮が終わると、これは回復していきます。元に戻って、ここでスイッチがオフになります。化学受容体はずっとスイッチが入っています。化学受容体が働きますと、胎児の血圧が上がるわけです。血圧は省略してますけど血圧が上がってくると、受容体を介して迷走神経がオンになる。そのためにここで迷走神経がオンになって、心拍数が下がってきはじめる。ここで神経の反射は多くなりますから、心拍数は戻ってくる。そういうことで子宮収縮と心拍数の低下とはずれが生じるわけです。そのために最初に申しました定義の通り、ゆっくり下がってゆっくり戻るけど、子宮収縮のピークと心拍数の低下とは時間的なずれが起きてくるのは当然である。遅発一過性徐脈というのは胎児の低酸素で起きるわけです。 遅発一過性徐脈
ここで元々胎児が低酸素にある場合には、簡単に1を越えます。元々胎児に充分酸素があれば、なかなか1を越えない。ということは、胎児が元々低酸素にあればレイトが出やすい。子宮収縮が強ければ、子宮も胎盤の血流量が減る程度も多くなりますから、1を越えることも多くなる。子宮収縮の強さはレイト・デシレーションの発現に大きな影響を与えるということも分かります。お母さんの血圧が低ければ、子宮胎盤血流は元々低くなってますから、そこからさらに低くなりますから、純毛幹部の酸素濃度はもっと下がるからレイトが出るということも想像がつきます。レイト・デシレーションが起きる原因というのは必ずしも胎盤の機能だけではない。お母さんの循環、子宮収縮の強さ、多くは収縮、母体の循環、そして最後は胎盤の機能、この3つでレイトは出るわけです。我々は臨床的にそれを区別しなきゃだめです。胎盤の機能は、朝入院してきた妊婦さんが3時間後に胎盤機能が悪くなるはずないわけです。我々は何を考えるかというと、さっきまで何もなかった人が急にレイトが出てくれば、これは子宮収縮が原因か、もう1つは母体の循環の原因か、残った2つに原因をまず見つけなきゃいかんわけです。
これはお母さんに硬膜外麻酔をしてとったレイト・デシレーションです。硬膜外麻酔をするために血管がワッと開いて、子宮循環が悪くなって、レイトが出たわけです。ご覧のように、これはレイト・デシレーションよりもバライミティがあります。これは安心できるレイト・デシレーションです。これは何かといいますと、これにレイトがあります。ここではレイトは出てません。これは子宮収縮が長すぎてレイトが出た。こういうようにハイパー・シミュレーションでも出てきます。臨床的に最も多いのはこれです。過強陣痛によるレイト・デシレーションです。まず過強陣痛によるものを念頭に置いてください。胎盤機能が急に悪くなることはないです。これはさっきまで・・・羊水過多症です。ジンパをして、ゆっくり下がってますから、・・じゃないでしょう。タイミングもずれてますからレイトです。さっきまでなんともなかったのが、ジンパでレイトが起きてきた。これは何を考えるかですけど、子宮収縮はそんなに強くないわけです。レイトが起きちゃった。これは胎盤の早期剥離です。急にこうなる場合、特に羊水過多症でジンパをして起きたわけですから、胎盤早期剥離のレイト・デシレーションです。胎盤早期剥離の場合の最も心拍数に出てくる異常というのはレイト・デシレーションです。あとはキンカイな子宮収縮です。それを見れば、強く胎盤早期剥離を疑ってください。当然、出血、血清羊水というのも診断基準になります。下がってきまして、帝王切開したんですけど、この場合子宮収縮の強さとレイト・デシレーションの深さは相関します。子宮収縮が強ければ、低酸素の程度は強くなりますから、その分だけ心拍数は下がります。子宮収縮が大きい時に心拍数の下がりの程度がひどい。それはレイト・デシレーションの特徴です。帝王切開しました。これは幸い助かりましたけど、典型的な早期剥離の出血でした。これが起きた時に何をするか。胎盤の機能、母体の循環、子宮収縮、この3つが原因なわけですから、この3つをまず・・するのがまず第一です。
まずするべきことはこれは側臥位にしてます。これはその時にどれを順番にするかというのが非常に難しいですけど。教科書なんかには側臥位にせよと書いてあります。側臥位にする義務というのは、変動一過性徐脈の場合には最適な体位に変えなさいと言いました。あれは胎盤の圧迫をのけるのが目的ですが、この場合の側臥位というのは側臥位にして動脈、あるいは静脈の圧迫を解除して、子宮血流を良くしてやるのが目的です。通常はカタイ動脈を圧迫しないように左側臥位にします。子宮収縮があれば低酸素が強く出ますので、まず酸素をフクソシンを中止します。それからお母さんの低血圧の補正をするわけです。それでもこれだけをして尚かつ出ない場合にはそれ以外の原因です。胎盤の原因を考えます。急に胎盤の機能が悪くなることないですから、・・は充分にあります。その場合には分娩を考慮しなければなりません。先程の変動一過性徐脈のところで安心できる場合とできない場合のことについてお話しましたけど、同じように遅発一過性徐脈でもヴァイアミリティが再変動が少ないものは安心できません。基準心拍数が早いもの、これも安心できません。その辺は変動一過性徐脈と同じように考えてください。

これは分娩、胎児仮死になる前の日です。基準心拍数は150ぐらいです。ヴァイアミリティは5以上あります。アクセレーションもある。子宮収縮はありませんから、子宮収縮に伴うデシレーションは何とも言えませんけど、これは誰が見ても正常な心拍パターンと言えると思います。この人は羊水過多があって、羊水をこの日に抜いて明日分娩をしましょうと言って次の日まで対処しました。ところが次の朝、研修医が6時にCTを付けると、急に基準心拍数は155、ヴァイアミリティはかなり減少してます、5以下です。アクセレーションはありません。なんとかデシレーションが子宮収縮に遅れて徐脈になってます。ノンレムの場合には・・があります。この日の研修医は早速ここでバスをしました。ところが期待に反して、全然・・がありません。むしろ徐脈になってます。全然アクセレーションが出てこなくて、・・もなくって、昨日まであんなに元気だったのに一体どうしたんだろうと。それにしては痛みもないし、子宮収縮もそんなに強くないし、とにかく分からないけどいいはずがない。これは恐らく・・になってるでしょう。これは帝王切開を決めたんです。これは結果的には臍帯が断絶してまして、おそらくは後から分かったことなんですけど、この赤ちゃんは十二指腸閉鎖の羊水過多症なんですけど。そういう子どもというのは時々臍帯がパシャンと破れて、赤ちゃんが出血をして貧血を起こすらしいです。これは胎児の貧血だったんです。ここで私が言いたいのは、この研修医が型通り、これを何もしないで見てれば発見が遅れたでしょうけど、ちゃんとバスをしてるわけです。反応がない、これも明らかに異常なわけです。バスという方法は感度のいい方法でして、元気な赤ちゃんではアクセレーションが出る。的確にこういうことをしてるわけです。ただ残念ながら、これをしたのは6時過ぎぐらいですけど、カンファレンスが8時半から始まるんですけど、主治医はこれをカンファレンスに持って行ったんです。「今まで何しとったんや」と皆に言われて、すぐ帝王切開したんですけど。バスをしたのは良かったけども、その判定を間違っちゃってるんですね。幸い間に合いましたけど。変だなと思って行ったということに関しては非常に考えとしては正しかった。
これはアイビジュアルの症例です。アイビジュアルというのは典型的な胎盤機能障害です。この場合には胎盤機能異常に伴うレイト・デシレーションが出てるわけです。やはりうヴァイアリミティが少ないというのが特徴です。すぐに帝王切開するかどうかというのは別問題です。例えばこれが経産婦で4、5センチであれば、まずジンパをするべきでしょう。ジンパをして、早くすめば・・。これが初産婦でまだ3センチであれば、帝王切開を選ぶでしょう。このようにあくまでも何をすべきかということはこのチャートからじゃなしに、臨床の状態から決定するしかないです。 アイビジュアル〜胎盤機能障害
これは妊娠中毒症によるものですけど、これもレイト・デシレーションのメカニズムを説明するときに非常に分かりやすいので持って来ました。妊娠34週3日です。血圧は188の103です。これはすぐ分娩しなかったんです。夜中にもう少し血圧がどうなるか見てみようと言って、・・を監視して、ステロイドを打ったんです。ステロイドを打って、・・の静止を待とういうことで・・・。基準心拍数が130ぐらいで、ヴァイアミリティも50あります。アクセレーションもあります。子宮収縮はありませんけど、赤ちゃんの状態はいいと判断したわけです。なんとか48時間抗圧剤を使って血圧を下げて待機しようとしたわけです。・・を入れて、・・部屋に帰ってモニターをした途端にデシレーションが出てきて、何だと思って行ったら、血圧が130の80。これは基準心拍数が150ぐらい、子宮収縮に伴って徐脈になっている。典型的なレイト・デシレーションです。やはりここでも急に胎盤機能が悪くなるはずがない。この原因は何か。180の130、やっと保っていた子宮循環がこれで破綻したわけです。ここで直ちに帝王切開をする必要はないわけです。これは決して赤ちゃんが悪いわけではない。赤ちゃんの環境さえ整えてやれば、胎児は元に戻るわけです。もう1つこれぐらいで胎児が脳障害を起こすことはまずありません。どこまでいったら脳障害を起こすか、これがまた非常に難しいんですけど。この時に何をしたかといいますと、バスしてます。・・があります。これは確かに限度があるから、胎児は・・にはなってるだろう。アクセレーションにはなってない。これはやめて、血圧が戻るのを待って、それから経膣分娩を当初の目的通りしようということに切り替えました。この段階では帝王切開はしませんでした。それで血圧が充分戻ったことを確認してからメトロを入れて・・を開始しました。アクセレーションもしっかりありますし、レイトもあります。もちろん血圧は170の96で少し高いんですが、必ずしも血圧が高いから帝王切開が安全とは言えませんので、このまま経膣分娩を続けました。ただ基準心拍数が早くないし、持続も30秒ですし、いわゆるショアリングなデシレーションなのでこのまま経過を見ました。羊水注入をしないでいったかと思います。血圧は高いですけど。最後には34週で1860g、アプガー7.9で比率7.30で無事に・・できたんです。胎児の心拍数の変動を見て、それで胎児の状態をまず把握して、その原因を考えて、それから何をするかを決めたという、非常にいい例じゃないかと思います。ですから心拍数のパターンを見て、これがあれば次にこれをするというような感じ方をしないで、この異常は何が原因か、現在の赤ちゃんはどういう状態かを考えて、もっとも良い対処は何かを考える。そういうものの非常にいい例じゃないかと思ってお持ちしました。以上が私の用意したものです。明日から早速これを応用して、日々の臨床に使っていただければ非常に有り難いと思ってます。ぜひ1つずつチェックしていって、できるだけ診断しようと思わないで、最初に示しました5項目を1個1個チェックして診断をして、臨床的に総合的に判断をして処置をしていただきたいと思います。
以上